エフェクターの話をしよう

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TORNARD Fx / TORNADO Drive Aluminum & Brass

 こんにちは。今回は、ペダルフリーク界隈でも話題のこちらのペダルについてです。

文字が金色の方がBrass、白い方がAluminum


 TORNARD FxのTORNADO Drive。TORNADO Fxというブランドですが、あのONE CONTROLの別ラインという扱いの新規ブランドです。凛として時雨のTKこと北嶋徹さんのシグネチャーペダルを作るに際して、デザインをBJF、製作をONE CONTROL、監修がTKという形でTKの理想の音を追求するために立ち上げられたONE CONTROL内の別ブランドラインという形ですね。

 そんなTORNADO Fxの初のペダルがTORNADO Driveです。筐体の違いで2つのタイプが発売されていまして、1つがTKの使用する機材と求める音色に合わせて調整されたブラス削り出しのBrass、もう1つが多くのギタリストにとって素晴らしいオーバードライブとして開発されたというアルミニウム削り出しのAluminumとなっています。
 今回はAluminumとBrassの双方について触れていこうかと思います。

 まずコントロールですが、どちらも基本的にはLevel(音量)、Tone(音色の調整)、Drive(歪み量)の3ノブ構成です。電源周りはどちらも9VセンターマイナスのDC入力。電池も使えます。
 Brassのみ側面にトリマが2つ付いていて、そちらがミッドレンジを調整する「2K」と高域のエッジを調整する「High Treble」のコントロールとなっています。
 コントロールに関してはこの程度で、比較的シンプルな方だと思います。

 最大の違いはやはり筐体の違いで、どちらも削り出しですが、アルミニウムとブラス(真鍮)なので、重さなどの部分で大きな違いがあります。
 Aluminumが公称値348g、Brassは公称値892gですね。倍以上の差があります。実際に自分も自宅にてキッチンスケールに載せてみましたが、Aluminumが349g(多分計り方による誤差)、Brassはちゃんと892gありました。Brassは持った時ちょっとびっくりするくらい重いです。サイズから想像するより随分とずっしりしていて、下手に落として足に当てたら骨折しそうに思うくらいです。(これで人殴ったら死ぬんじゃないかという気すらします)
※余談ですが、Brassの裏蓋を開ける際、ふと気になったので測ったら裏蓋単体で192gもありました。蓋だけでミニサイズのペダル1個分くらいありますね...。

 本体の重量を測った画像はTwitterに上げてるのでそちらを参照していただければと。


※さらに余談ですが、アルミは塗装して文字の色を載せているのですが、Brassの文字部分は塗装を削って地金を出す形を取っているようで、文字の面が凹んでいます。こちらはちょっと上手く撮れなかったので現物が出回ったら是非見てみてください。


 実際に音を出したら音がまるっきり違うので、内部のパーツなども変えてるとは思いますが、その辺は分解してみないとわからないので詳細は不明ですね...。ただトリムが増えてることもあって裏蓋を開けて見える範囲のパターンの引き方は若干違っていました。

緑基板がAluminum、黒基板がBrass。アース周りや電池スナップの取り回しなど細部に違いが見えます。

 

 ここからは音に関しての話をしていこうかと思います。
 まずAluminumからですが、率直にいえば結構JanrayやTSV808に似てるな、という感じがします。その上で違うポイントがあるとすると、Driveを上げていった際に分離感が失われない所が特徴なのかなと。Toneは上げていくとハイと一緒に若干ですがローも上がってるように聞こえました。
 なんというかJanrayでも近い音は作れるかなとは思うのですが、よりゲインを上げた場合の分離感がいいのと、Janrayでゲインを上げた時に出てくるような飽和感が少ないかなという気がします。こちらでもDrive上げていったら最終的にローのボワッとした感じは出てくるんですが、Janrayほどではないかなと。総評では少しハイゲインにしやすいJanrayみたいな印象に近いかもしれません。

 追記:言及し忘れていたのですが、Aluminumはゲインをあげてシングルコイルのリアピックアップで弾くと良い感じの音が出ますね。リアで弾くならAluminumの方が良いかもしれません。



 次にBrassですが、結論だけ言うとAluminumとは別物の音がします。音が凄まじく前に飛んでいきます。BarbarossaのGARGOYLEみたいな感じと言いますか...音の張りと音圧がアルミとは段違いです。めちゃくちゃ迫力がある音がします。その上でミッドとトレブルのエッジをコントロールできるトリマがあるので、かなり音は作り込めるんじゃないかと思います。少なくともフロントPUで弾くならBrassが圧倒的に良かったです。



一応自分が購入してきた日にすごくざっくり撮った映像をTwitterに上げてあるので、添えておきます。ギターはストラト、PUがセンターでアンプがFenderのVIBROLUX Reverbです。
アルミ→ブラス→クリーンですね。動画撮り慣れてないのもあって音もやや篭ってますが、各モデルで違う印象くらいはお伝え出来るかな、と...。


 メーカーのHPでも、汎用性のAluminum、TKの環境に合わせた調整をしたBrassという風に書いていますが、TKらしい音を求めるならBrassの方が圧倒的に優位性があると思いますね。
 問題は値段ですね。Aluminumは39600円(税込)、Brassに至っては71500円(税込)です。Aluminumはこれでも現在のJanray新品価格よりは安いですが、それでも高級ペダルのお値段ですし、Brassに至っては筐体がブラスの削り出しで部材費高いのはわかるけど7万超えてるのでめちゃくちゃ高級品です。正直軽々手を出せる感じではないですよね...。これが最大の欠点かもしれません。

 自分としてはTKっぽさを抜きにしてもBrassの方が音良く感じましたし、高いのとめちゃくちゃ重いのが難点ですが、せっかく買うならBrass買った方が満足度高いんじゃないかなとは思いました。
 Aluminumの方は正直代用できるペダルいくらでもあるような気がしちゃうんですよね...。

 そんな訳で、TORNADO Driveのレビューでした。また次の記事でお会いしましょう。