エフェクターの話をしよう

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ELECTRONIC AUDIO EXPERIMENTS (EAE)/ Limelight V2

こんにちは。今回は海外から仕入れたペダルの話です。

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 ELECTRONIC AUDIO EXPERIMENTS(EAE)というメーカーのLimelightというペダルです。

 まず、EAEは2015年にギタリスト兼電気技師のJhon Snyder氏によってマサチューセッツ州ボストンで始まったメーカーです。
 今のところ日本国内に代理店やディーラーがないのですが、海外のギタリストのペダルボードなどを見て気になった国内のペダルマニアが個人輸入などで手に入れた後、放出したものなどがメルカリなどにたまに出てるのを見かけますね。
 自分もTwitterで繋がりのあるペダルマニアの方が推しているのを見て、気になって調べているうちに、ブランドのinstagramにて新作(Limelight V2)の写真があり、良さそうな気がしたので仕入れた次第です。
 ※実際には見つけた時には直販売り切れてて、Twitterで教えてもらったシンガポールのディーラーから買いました。

 このLimelight、LAを拠点にするパンクバンドのTouché Amoré と共同開発された2chのオーバードライブとの事で、元々はTouché Amoré が2020年に制作したLamentというLPのリリースを記念して作られたシグネチャーペダルのようです。実際LPの中にLimelightというタイトルの楽曲がありますね。アルバム全体通してこのペダルが使われているようです。

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 ペダル自体の話に戻りますが、リリース当初のV1は横長の筐体(写真見た限りではBondi effectsのSick asとかと同じサイズ)で作られていたようですが、今回リリースされたV2はほぼ正方形の筐体になり、回路もバイパス部やノイズリダクションなどを改善されたようです。この正方形に近い(厳密にはやや縦が長い長方形)ケース、割と海外のペダルブランドだと良く見ますよね。フットスイッチが2つあると、このサイズ感が踏みやすくていいという事なのかも。あるいは基板収める都合かもしれないですが。(実際海外ペダルだと、walrus audioのように普通のMXRサイズにフットスイッチ2つ突っ込んであるのも数多くあるので基板収める都合な気がしてます)


 コントロールはVolume、Tone、Gain、Boost、そしてFocus(3wayトグルスイッチ)となっています。フットスイッチはDRIVEとBOOSTの2つ。電源はセンターマイナスのDC 9Vで、電池は使用不可のようです。消費電流量は両方のチャンネルをオンにした場合で80mAとの事。
 
 もう少し詳しく見ていくと、BOOSTチャンネルのコントロールはBoostノブのみとなっていて、こちらで最大21dBまでのクリーンブーストができるようになっています。
 Volume、Tone、Gain、そしてFocusトグルはDRIVEチャンネルのコントロールとなっていて、Volumeは文字通り音量を、Gainは歪みの量を調整する物です。公式HPにあるマニュアルによるとGainは2つのゲインステージを同時にコントロールしていて、軽い歪みからディストーションに近い歪みまで幅広いレンジを確保しています。ゲインを上げていくと中域にフォーカスされるようになっているようで、それによって音の濁りを減らす設計になっているみたいです。

 Toneはシンプルなローパスフィルターになっていて、右に回すほど高域を通す形になっています。Focusのトグルは歪み部分の可変ローカットで、倍音の量や中域の存在感をコントロール出来るようになっていて、3段階から好みのものを選べます。上はハイが強調されたサウンドに、真ん中は一番癖のない素直な感じに、下にするとややローが強調された太い音になりますね。このToneとFocusを組み合わせて好みの音を作る感じですね。
 
 ちなみにDRIVEチャンネルとBOOSTチャンネルはそれぞれ個別に使える仕様になっています。ペダル内での接続順はBOOST→DRIVEの順になっているので、両方オンにするとBOOSTはゲインブースターとして作用する形になりますね。

 音の傾向ですが、LimelightはMarshall Blues Breakerの回路をベースにしつつ、Touché Amoré のギタリスト2人に合わせてよりラウド、よりダイナミックな物を目指して作られたようです。※EAEの当時の既存ラインナップにあった歪み(Longsword、Harberdなど)では彼らの希望には沿わなかったんだとか。

 そんな訳でBlues Breakerにもっとメリハリつけたような感じの音がします。ローゲインではスッキリしてますし、ハイゲインにするともっとラウド!パンク!って感じになるので、ざっくり分類するならモダンな方向性の歪みだと思います。モダンとは言っても、ToneとFocusのコントロールが非常に良く出来ていて、この2つを使うとかなり幅広いジャンルに対応できるのではないかと思います。特にFocusのローカットコントロールがトグル1つで帯域の被りなどに対処できそうな感じで非常に便利な感じがします。

 難点があるとすると国内では入手しにくい事でしょうか...。EAEのペダルは公式サイトの直販だと在庫復活から無くなるまでがかなり早いのと、在庫追加がEST(アメリカの東部標準時)の正午だったりするので、日本だと深夜(ESTの12時=日本では翌深夜2時)なことが多いんですよね...。実はまさに先日、Limelightとは別のペダルの在庫追加があって、自分はどうにか販売開始まで起きてて買ったのですが、その後朝起きたら売り切れてたんですよね…。日本時間の朝8時にはなかったので6時間保たなかったみたいです。


 公式HPメーリングリストに登録しておくと再入荷の時期にお知らせしてくれるので、気になる方は是非。HPに掲載されている、各国ディーラーに網を張っておくのも手ですね。自分もそちらから入手したので。

 デザインもいいですし、すごく自分好みなペダルです。エモ、パンク系の音楽をやる人に特におすすめしたい感じですね。もちろんそれ以外のジャンルでも是非。

 

 それではまた次の記事でお会いしましょう。