エフェクターの話をしよう

ラッコ(twitter ID:rakko_lau)がエフェクターのレビューやらをするブログです。コメント等はお気軽にどうぞ。

Umbrella Company / Mayonaise Fuzz

 ご無沙汰しております。
 長らく筆が進まなかったり忙しかったりで、新しい記事を出さないままでしたが、久々に少しまとまった時間が取れそうなので、年内のうちに積み上がってる下書きをちょっとずつ仕上げて、順に出していきたいなと思っています。

 そんな訳で久々の記事なのですが、今回取り上げるのは今週発売されたばかりのUmbrella CompanyのMayonaise Fuzzです。ビッグマフを源流とするファズ・ディストーションです。

Mayonaise Fuzz 名前の通りペダルの上半分はマヨネーズのイラストが描かれています。


 コントロールはVOLUME、TONE、SUSTAINの3つのノブと、DOPING、1979の2つのトグルスイッチ。そして内部のジャンパを切り替える事で裏モードに切り替えられます。
 VOLUMEは音量設定なので割愛しますが、SUSTAINはかなり幅が広いです。結構ローゲインな所から、ディストーション的な領域を経て、最大に近付くとファズの雰囲気が強くなっていきます。
 TONEは一般的なマフ系と同様の12時を中心に右に回すと高域が、左に回すと低域が強調される仕様です。

 DOPINGスイッチはビッグマフ式のトーンの仕様上、スクープされてしまうミッドの帯域を補うような働きのスイッチです。オフの時はTONEが一般的なビッグマフと近い効き方をします。オンにすると、ミッドを強烈にプッシュして音が前に出るような感じになります。トーンの効き方自体も少し変化するようで、通常のマフでは使うことが難しいTONEが最小や最大の状態でもかっこいい音が出ます。かなり使える幅が拡張される感じですね。

 1979スイッチは説明書によると、「一部コンデンサをカットしてフルレンジブーストを追加する」と言う事なんですが、1979っていうとマフにトーンバイパススイッチが搭載された頃だったと思うので、それを意識したスイッチなんでしょうかね。オンにすると、オリジナルのマフにあった独特の篭り感が解消される感じと言いますか...。高域の潰れ具合が変化するのと、ギターのボリュームへの反応性などが良くなります。特にSUSTAINを低めに設定した時に効果的で、ギターのボリュームでクランチくらいのところからファジーディストーションサウンドくらいまでコントロール出来たりします。

 実際に触ってみた印象だと、通常モードはSUSTAINがどのポジションでもマフ系として考えるとだいぶ抜けや分離感がいい印象です。そのお陰で使いやすいですし、どんなジャンルの音楽でも対応できそうな懐の広さを感じます。
 "サウンドの張り出しと突き抜け感にこだわり、アンサンブルの中でドライブが「飛んでくる」感覚を意識して作られた"というのも納得の仕上がりだと思います。

  
 そして、内部のジャンパを切り替える事で使用できる裏モードについて。

ペダル内部、右下にあるジャンパを切り替えることで、通常モードと裏モードを切り替え可能。


 通常モードは音抜けのいいスタンダードなマフ系サウンドといった感じですが、裏モードにすると、通常モードとは比較にならないほどのローが追加されます。シビルウォー期の特定の個体が元になっているらしいのですが、めちゃくちゃイカつい低域が壁のように出てきます。
 ただ、思っているよりグシャッと潰れる感じは少なくて、各弦の分離感もある程度維持されてる感じです。とは言え、裏モードでトグルスイッチ両方オフだと流石にちょっと扱いづらさも感じる部分はありますね。
 それと地味な所ですが、通常モードはエフェクトオンのLEDが赤なのですが、裏モードにするとLEDが青になります。現在どちらになってるかが分かりやすくてありがたい仕様ですね。

 参考までにX(旧Twitter)にあげた友人に弾いてもらった動画を載せておきます。

裏モードにするとロシアンマフの音になる(ローめっちゃ出る) pic.twitter.com/wWC5R41jai

— ラッコ(rakko)🦦 (@rakko_lau) 2023年10月20日

 


 総評としては、非常に守備範囲が広く、使えるポイントの多いペダルだなと思います。どんなジャンルにも対応出来ると思いますし、使い道が限定される感じもあまりしないと思います。
 それでいてあまり音作りで迷う事が少ない操作性も秀逸だと思います。守備範囲を広く取ったペダルってノブが増えたりしがちで、しかもそのノブが相互作用するタイプだったりすると音作りで迷子になりやすかったり...とかそういうこともあるんですが、Mayonaise Fuzzはそこをノブ3つと2つのトグルという形で選択肢をある程度絞ってくれているので、目当ての音を探しやすい印象がありますね。少なすぎず、多すぎない丁度良い塩梅じゃないかと。

 個人的には25000円+税という価格でこのクオリティの物が出てきたの、昨今のエフェクター業界で見てもかなりインパクトのある出来事だと思います。かなりオススメです。

 

 そんな感じで、久々の更新でした。また次の記事でお会いしましょう。

 次こそはあまり期間を空けずに更新出来たらとは思っておりますが、実際どうなるかはなんとも言えないのが心苦しい所ですが...。 

おまけのような話ですが、裏蓋には海外の食品成分表示みたいなスタイルのシールが貼られています。こういう遊び心も楽しくていいですね。


 ※余談ですが、Skreddy PedalsにもMayonaiseってファズが(その小型版のMayoも)ラインナップされてまして、そちらもマフ系のペダルなんですよね...。なんか名前の由来的なところで関係あったりするのでしょうかね...?
 

 余談の追記になるのですが、Mayonaiseの由来はThe Smashing Pumpkinsではないか、と知人から教えてもらいました。「Siamese Dream」というアルバムに同名の曲があるそうで...。(Skreddyのペダルもそこから取ってるらしい) 
 1979スイッチも「Mellon Collie and the Infinite Sadness」に1979というタイトルの楽曲があるとの事。自分は全然スマパン詳しくないので気付きませんでしたが、ファンならニヤリとするネーミングなのかもしれませんね。