エフェクターの話をしよう

ラッコ(twitter ID:rakko_lau)がエフェクターのレビューやらをするブログです。

Barbarossa GARGOYLE

こんにちは。今回はBarbarossa GARGOYLEというディストーションのレビューです。

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 このペダル、凛として時雨のTKさんのエフェクターボードに入っていることで有名なやつですね。ただ、「TKさんが使ってる、めちゃくちゃ高い、全然出回らない」、およそそれ以外の情報がない、ある種謎に包まれたペダルでもありますね。2008年頃から売ってるらしいんですが...。

 

 そんな謎の多いペダルを出しているBarbarossaというブランドなのですが、福井県のnew toolという会社のブランドで、クライオ処理などを施した上で独自筐体を使ったエフェクターを製作しているブランドです。他にスピーカーケーブルやシールドなどもラインナップにあるようですね。どうも会社の事業の中に物性処理事業(ここでクライオ処理などをしているらしい)というのがあるようで、そちらからの発展なのでしょうか。

 ちなみに先ほどから出ている、クライオ処理って何なのかと言いますと、すごーく大雑把に言うと、超低音で金属部を処理することで分子配列などを整えてあげる、といった処理らしいです。

......オカルトか?という気もしないではないんですが、その辺に関しては正直ちょっと判断材料がないので言及を控えたいかなという気がします。(極低温にすることで物体の電気的な抵抗値が下がる現象自体は、リニアモーターカーなどの技術に使われてる超電導という現象が存在しているので一概にオカルトとも言いづらい)

 

 このBarbarossaというブランドのペダル、クライオ処理以外にもフラッグシップモデル(CHIMAERA、GARGOYLEの2機種)ではかなり独特な独自筐体を使っていると言う特徴がありまして、なるべくパーツ間でのノイズなどを対策する為に各パーツごとに小部屋に区切られたアルミ削り出しの筐体を使っています。その為か、やたら重いです。キッチンスケールに乗せてみたら740g程度ありました。また、下に写真を添えますが、ケースの蓋を閉めるネジにかなり特殊なネジ(いじり止めトルクスネジ)を使っていて、回路がある部分は簡単に開けられないようになっています。下側の銀のネジだけ普通のプラスネジで、こちらを外すと電池が入るスペースが開けられます。(開けてみると筐体の壁の厚みがすごい厚い)

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 後この特徴的なアルマイト塗装のケース、色が黒いGARGOYLE特有なのかはわかりませんが、マットな質感故に触ったり爪が擦ったりした際に白い跡がついたり、汚れが結構目立ちやすいです。ティッシュなどで拭けば取れる感じなので傷つきやすいとは違うのですが...。

 

 それでは、ペダル本体について触れていきましょう。コントロールは左からLEVEL、TONE、DRIVEの3つで、他にトグルスイッチとかもないですしシンプルなコントロールですね。

 このペダル、とにかく音が大きいです。LEVEL、DRIVE共に9時くらいでユニティゲインより少し音量大きいかと思います。両方12時の時点でも一般的には大音量の類だと思います。CHIMAERAの方も持ってる人曰く音でかいらしいので、Barbarossaのペダル共通なのかもしれませんね。

 TONEは中高域〜高域を中心に効いている感じで、右に回すと若干音量も大きくなったように聞こえます。全く使えないようなポイントがある感じではないにせよ、15時以上になってくるとサーッと言うホワイトノイズのような成分が入ってきたりするのと、12時時点でも十分に高域が出てる感じなので、11時〜14時くらいでお好みに合わせて調整するのが良いのではないかという印象です。多分上げすぎるとノイズの有無に限らずうるさいような気がします。

 DRIVEは歪み量と共に音量も上がる感じです。絞り切っても音が出るので、DRIVEを絞ってLEVELを上げるとクリーンブースターにもなります。上げ切ってもちゃんとディストーションらしい歪み方をしてくれます。

 

 このGARGOYLEというエフェクター、どうカテゴライズしたものかと少し悩んでいたのですが、色々な歪みを改めて弾いたりしてみた結果、歪みの質としてはMad professorのStone Gray Distortionに近い気がします。割と硬めのディストーションサウンドと言う感じ。ただ明確に違う点もあって、低域の量感や音の押し出し感といった部分がGARGOYLEの方がはっきりと分かるくらい強いです。あとハイエンドなブティックペダルには比較的多く見られる傾向ですが、音が速い感じがします。

 多分これは独自筐体の重量などに起因しているような気がするのですが、GARGOYLEは低域がまるでコンクリの壁が飛んでくるかのように出ます。歪み量以上に音量で壁感が出てくるので、いわゆるウォールサウンドを作るディストーション(例えばシュレッドマスターとか)と違う方向の壁感があります。踏むだけで妙に音に迫力が出るといいますか...。こういう音の出方するペダルもなかなかないような気がしますね。

 

 これにしか出せない音というのが明確にあるタイプのペダルじゃないかと思います。値段がめちゃくちゃ高い(昔から12万+税なので現状132000円する)のと、純粋に生産台数が少ないのでレアなのは間違いないんですが、一応現在も生産はされてるので試せる機会があったら試してみてください。

 余談になりますが、私が買った新品が250番台なので、2008年の発売から12年でこの生産数とすると、年に20台前後しか生産されてないと言うことになりますね...。(CHIMAERAも生産台数は似たような物らしいです)

それでは。

 

BJFE Saffron Yellow OD #2

 こんにちは。今回は以前レビューしたAqua Marine Wonder Machineに続いて2台目のBJFEペダルのレビューです。

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 Saffron Yellow OverDrive、2002年頃からBJFEのラインナップに存在しているかなり息の長いペダルです。後にSaffron Yellow OverDrive2という4ノブになり、ヘッドルームが広がった仕様のものもリリースされています。
 

 実は今回手に入れたSaffron Yellow OverDriveですが、非常にレアなものでシリアルが「2」の最初期のものになります。

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まさかのシリアル2番

 初期BJFEは現在使われているアルミケースと違い、亜鉛ダイキャスト製のものを使用していたので、ケースの重みなども異なっています。かなりずっしりした重量感がありますね。

 コントロールはVol、Drive、Trebleの3つ。Volは音量、Driveは歪み量、Trebleは高域の調整ですね。Driveは絞り切っても音が出るので、ゲインブースター的にも使えます。Driveは目一杯上げてもオーバードライブの範疇ではありますが、これ単体で歪ませても十分なくらいには歪みます


 音は、基本的にTSの延長線上にある音だと思います。一般的なTS系と比べた時に、ローミッドがしっかり残っているので、芯のあるサウンドが出てくる感じと言えばいいでしょうか。ノブのセッティングを極端にしても破綻した音が出たりもしないですし、物によっては一癖あるBJFEのペダルの中でも使いやすいペダルだと思います。個人的に今まで触ったTS系の中で一番好みの音が出てるようにも感じました。

 総じてバランスの取れた、良質なTS系のODだと思います。希少なものも多いBJFEの中では、まだある程度の流通が見られるモデルでもあるので、機会があったら是非、試してみてください。今回は短めですが、これくらいで。

Cooper fx Generation Loss V2

 こんにちは。今回は待望のペダルが発表され、国内販売開始になったので早速…という記事です。

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 Cooper fx Generaton Loss V2です。V2と言うからにはV1があったりするのですが、その辺の話はちょっと後にしまして、先にCooper fxの話などしたいと思います。


 Cooper fxはアメリカのミネソタ州ミネアポリスでペダルを作っていて、ノスタルジーな雰囲気を出すローファイなペダルを中心にリリースしています。かなりマイペースなブランドなようで、生産数が少ないのもあって世界各国の販売店でも、どのペダルも入荷するとすぐ売り切れ、という状態が続いているらしいです。余談ですが、ロゴはブランドオーナーの愛犬、Cooperのシルエットで、出荷されたペダルにはCooperのブロマイドが入っていたりします。

 

Generation Lossというペダルについて

 本題のGeneration Lossというペダルですが、Cooper fxが脚光を浴びるきっかけになった、VHSの雰囲気を再現するモジュレーション系ともフィルター系とも言えるペダルで、いまだに海外では結構な値段で取引されていたりします。(V2が出ていくらか相場が下がったみたいですが、安くて7万〜高いと10万くらいの値がついていることもあるようです、ちなみにV2にも現状在庫薄の為か、やたら高い転売価格がついてます...)

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Generation Loss V1

 そんなCooper fxですが、Chase Bliss AudioのDark World(リバーブ)のDarkチャンネルのリバーブデザインをやった縁などからか、一昨年(2019年)にChase Bliss AudioとコラボしたいわゆるCBA版のGeneration Lossを1000台限定でリリースしています。CBAの筐体スタイルに合わせた、実質Generation Loss V1.5といった感じのもので、発売時あっという間に完売し、こちらはReverb.comなどで見るといまだに10万円以上の値段で取引されていたりします。一部日本のペダルマニアでも手に入れてる方がいまして、こちらは自分も数回弾かせてもらった事がありますが、とても良いペダルでした。

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Chase bliss Audio版のGeneration Loss

 さらに2020年になると、カートリッジ切り替え式のマルチ空間系エフェクターARCADESをリリースして、追加カートリッジにGeneration Lossをモチーフにしたカートリッジが出たりはしていたのですが、本家のGeneration LossはCBA版も含めてとにかく入手自体が困難なペダルになっていました。

 そして、今年になってついに沈黙を続けていたCooper fxが満を持してリリースしたのがこのGeneration Loss V2です。大枠では、CBA版で発展させたGeneration Lossをさらにブラッシュアップしたものみたいです。CBA版にはなかった機能なども追加されていますし、V1になかったMIDIやエクスプレッションコントロールへの対応や、AUXスイッチの追加などもされています。今回は限定品じゃないという事なので、待っていれば正規価格で買えるはず...です。「製作ペースが気まぐれすぎて、本国ディストリビューターが作ってくれとせっついてた」なんて噂話もあるくらいなのでちょっと不安ではあるんですが...。 

 前置きというかペダルのエピソード部分が長くなってしまった感はありますが、次は操作面などに触れていきたいと思います。

 

入出力とコントロール 

 まず入出力ですが、インプットとアウトプット、EXPジャックと3.5mmジャックのMIDIインプットがあります。MIDIジャックが基盤直付けで固定されてないのがやや不安です。あと、電源は9V 150mAのセンターマイナスですね。

 コントロールは通常サイズのノブでWOW、FLUTTER、LP(ローパスフィルター )、HP(ハイパスフィルター)、ミニサイズノブでWET、DRY、GEN、NOISE、後LEDスイッチで、FUNCスイッチとPRST(プリセット)スイッチ、それからフットスイッチでAUXとBYPASSがあります。このミニノブ類もMIDIジャック同様、ケース側への固定はされてなくて、基盤直付けなのでしくじって踏んだりすると壊れる可能性は拭えないのが不安ですね...。ハンドメイドでやってるCooper fxらしいとも言えるんですけど...。プロダクトとしての頑強さなどの面ではCBA版の方が安心感あるかもしれません。入手難度を度外視した見解ですが。

 

 各コントロールでどんな風に音が変わるか、というと、以下の様な感じです。

  • WOW:テープマシンのオーディオプレイバックにて発生する低周波数帯のランダムなピッチ変動の調整。右に回していくと変動のデプスとスピードが増します。最終的にコーラスやランダムビブラート的な領域まで深くできます。
  • FLUTTER:WOWがスローでマイルドなピッチ変動なのに対して、こちらはテープならではのサウンドを特徴づけるような、より過激なピッチモジュレーションのコントロールです。なお、AUXの機能がSpectral Freeze/Droneのモードの場合はここがランダムビブラートのスピードをコントロールするノブとして機能します。
  • LP:レゾナント・ローパスフィルターのカットオフ周波数の設定です。左に回すほどオーディオがフィルタリングされていきます(右に回し切るとフィルターが無効化される)。HPと組み合わせて高域、低域をフィルタリングする事でリアルなテープサウンドの再現をしていく為のコントロールです。
  • HP:LPと対になるレゾナント・ハイパスフィルターのカットオフ周波数の設定です。こちらは右に回すほどフィルタリングされていき、左に回し切ると無効化されます。オーディオの高域を際立たせる効果も。
  • WET:エフェクト音のボリュームコントロールです。
  • DRY:ドライシグナルのボリューム調整です。絞り切ればキルドライも可能です。なお、ドライシグナルはデジタル変換なしでアナログのまま出力されます。後、調整時にガサゴソとノイズが出ますが、これは仕様だそうです。
  • GEN;エフェクト音のサンプルレートのコントロールです。最大値ではオーディオ品質がピュアな状態に保たれますが、左に回していくほどに劣化し、ローファイになっていきます。
  • NOISE:12時方向を基準として、左右で2種類のノイズオプションが選択できます。12時ではノイズがオフ、そこから左に回すと静的なホワイトノイズのレベルが増します。このホワイトノイズはフィルターの前で掛かる効果となっています。逆に右に回していくと、Generation Lossの前モデルの"noise mod"として知られているユニークなノイズが付加されていきます。

 LED兼用のスイッチは、FUNCがAUXスイッチで作用させるエフェクトの設定を、PRSTはプリセット関連の機能のコントロールとなっています。(ちょっと複雑なので詳しくはアンブレラカンパニーさんの商品ページから、取扱説明書を参照してください)

 AUXに割り当てられるエフェクトは、Tape stop effect、Garbled(文字化け) tape effect、Spectral Freeze/Droneの三種類あります。

  • Tape stop:オンにするとテープ効果だけバイパスされたような、ピッチ変動がない状態のローファイなエフェクトになります。
  • Garbled tape:テープをぐちゃぐちゃさせたような、ピッチ変動を最大化したような効果が得られます。
  • Spectral Freeze/Drone:オンにすると直前の音をフリーズして延ばすことが出来ます。

 なお、AUXと、BYPASSのスイッチはラッチ/モメンタリー両用となっていて、素早く押すとラッチ、0.5秒以上長押しするとモメンタリーとして機能します。EQDのペダルのフレキシスイッチに似た形式ですね。

 

実際に弾いてみて

 この記事を書きながら少しずつ触ってみた感想ですが、いわゆる世に多くあるテープエコー系のローファイマシーンとは方向性が大きく違うタイプのローファイ系エフェクトだと感じました。基本的にピッチ変動とフィルターで音を構築しているようなのもあって、設定次第ではリングモジュレーター的な音も出せますし、飛び道具としても一級品のペダルだと思います。

ただ、このペダルの真価は浅めにエフェクトをかけた時じゃないかと思っています。デジタルエフェクトではあるのですが、絶妙なローファイ感が付加されるので、うまく浅めにかけてあげるとギターの雰囲気作りに一役買ってくれるのではないかと。

 なお、記事の序盤の方で、ARCADESというカートリッジ切り替え式マルチエフェクターに、Generation Lossのカードがあるという話をしましたが、基本的には似て非なる物です。
 ARCADESは差し替えられる各カードに8つのモードを搭載していて、カードとモードの切り替えで色々なエフェクトを扱えるのですが、Generation Lossカードの中でも一番オリジナルに近いとされるモードを使ってみた限りでは確かに雰囲気の近い感じの音は出ますが、モード変えるともう別物のエフェクトなので...。お互いに代わりは出来ない感じかなと思います。

総評

 Generation Loss V2、ローファイ系ペダルの傑作だと思います。不要な人にはとことん不要なタイプのペダルだとも思いますが、これじゃないと出せない音は確実にあるので、ハマる人には欠かせないペダルになるのではないかと思います。純粋にオーガニックな感じの揺れものペダルとしてもいいので、興味の湧いた方は、今は国内に在庫ないようなので次の入荷タイミングを見計らって、試してみてください。それでは。

Earthquaker Devices Special Cranker

 こんにちは。今回は限定物のペダルレビューです。
 Earthquaker Devices(以下EQDと表記)のSpecial Crankerという、日本限定発売のペダルです。

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 限定生産で、全部で100台。その内今回手元にあります黒が25台全国のEQDショップ(現時点では全国6店舗)で本日4/10発売で、残り75台は黒とは色が反転した様な、黄色メインのカラーリングで6月中旬に全国の楽器店にて発売との事です。

 

 EQDに関しては国内の著名なミュージシャンで使ってる方もたくさんいますので、ご存知の方も多い気はしますが、アメリカのオハイオ州にあるペダルメーカーで、数多くのペダルをリリースしています。オーナーのジェイミー・スティルマン氏が元々バンドをやっていて、そこで使うペダルなどを修理したりするうちに始まったブランドだそうです。日本では一時期代理店がなくなり国内に入ってこなかった時期もありましたが、2017年の終わり頃からヤマハが代理店に付いたので、かなり手に入れやすくなっていますね。

 日本公式HPブランドについてのページによると"扱い易さを前提にしながらも、ビンテージからモダン、使い手の希望の音色や、使い手にインスピレーションを与える様なエフェクターを制作しております"とのことです。

 そんなEQDなのですが、廃番になったペダルの中に、Speaker Crankerという1ノブのペダルがありまして、そちらを今回発展させる形で作られたのが、このSpecial Crankerになります。Speaker CrankerはEQDのオーナー兼ビルダーであるジェイミー・スティルマン氏のお気に入りペダルでもあるそうで、それの開発時にやり残した事などから産まれたんだとか。

 

 Special Crankerですが、Speaker Cranker同様にオールディスクリート回路によるオーバードライブで、アンプの増幅段をもう一つ増やした様な使い方が出来るペダル、という事です。

 Speaker CrankerはMoreというノブ一つで、ゲイン量をそれで調整するのみのペダルでしたが、ゲインをあげると自然なコンプレッションが少し掛かる感じの比較的味付けの少ないオーバードライブペダルでした。そこから発展したSpecial Crankerは、LevelノブとToneノブの追加、加えてオリジナル同様の非対称シリコンダイオードによるクリッピングに加えて、ゲルマニウムダイオードでのクリッピングを選べる様になっています。
 ちなみにSpecial Crankerはメーカー側では18V駆動を推奨していて、ペダル購入時におまけとしてVoodoo Labのボルテージダブラーケーブルが付いていました。

 

 そんな訳で実際にペダル自体に触れていくのですが、先述の通りコントロールはLevel、Tone、Moreの3つとクリッピング選択のトグルスイッチというシンプルな構成です。Moreが一般的なペダルのゲインに相当する感じで、Toneはハイミッドのコントロール、Levelが最終的な音量の調整(マスターボリューム)となっています。クリッピングの選択による音の変化としては、シリコンでは結構ドンシャリ寄りで現代的なパワフルな音になります。一方ゲルマニウムではローゲインではかなりトランスペアレントな雰囲気のするオーバードライブという雰囲気になります。音量的にもシリコンより控えめです。音質的にも、シリコンと比べると高域も丸くて、ローもほどほどの量感になるので、一般的にはゲルマの方が扱いやすいように思いました。

 どちらのモードでもMoreを上げていくと、少しずつコンプレッション感のある歪みが出てきます。最大まで上げてもオーバードライブの範囲からは出ませんが、少しジリっとした歪みが張り付いてくる雰囲気になりますね。僅かにですがファズフェイスなどに通ずる感じでしょうか。個人的には結構好きです。
 メーカー推奨の18V駆動についてですが、シリコンモードで18V駆動にすると5〜6弦を弾いた際の低音が相当に目立つので、もしかするとこの条件ならベースでも使えるかもしれませんね。ゲルマモードの場合は純粋に9V駆動よりヘッドルームが広がってくる感じでした。正直電源は9Vでも18Vでもお好みで決めて問題無いかと。

 

 総評すると、イメージよりもずいぶんと使いやすいオーバードライブだと思います。個人的にはコレを使うなら、いいアンプをプッシュしてあげるのが一番気持ちいいと思います。ですが普通に使ってもかっこいい音の出せるいいペダルだと思いますね。

 黄色い方は6月発売なので頑張ればまだ手に入れられる可能性があるかと思うので、興味がありましたらぜひ手を伸ばしてみてください。税抜で2万円台前半で手に入るオーバードライブとしてはかなり優秀だと思うので。

 それでは。

自作ケーブルを作ろう 電源ケーブル編

 こんにちは。本日はレビューとは違うタイプの内容で「電源ケーブル」の自作入門的な記事になります。
 なぜいきなり自作かと言うと、「ちゃんと作れると便利だから」です。
 
 正直な所、電気系に関わる電源ケーブルの作成にはそれなりのリスクもあります。正しく接続されていない場合など、機器に深刻なダメージを与えてしまうケースもありますし、最悪の場合、感電などの形で怪我をする可能性もあります。
 ただ、自作出来ると自分好みのケーブルで、好きな(必要な)長さで作ると言う事が出来るようになります。シールドやDCケーブルでも同じ話ですね。既製品だと決まった長さでしか売ってないですから。
 
 ...とは言え右も左も分からないと敷居が高いのもまた事実です。そんな訳で、入門編というか、初心者に向けたチュートリアル記事みたいなものを書いてみようと思った次第です。
 

用意する道具

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用意する道具(一例)
  • ハサミ:よく切れる奴がいいです。僕はHOZANのヘビースニップを愛用してます。普通のハサミと比べるとちょっとお高いですが、使いやすいので。
  • ドライバー:セットとかに入ってるものでも大丈夫です。自分も高校時代の技術の授業で使ってた奴とか使ってます。
  • メジャー:定規でも可。個人的にはケーブルなんかだと曲がるのに添わせられるメジャーの方が扱い易いと思っています。
  • テスター:デジタルテスターなら大体問題はないです。自分はお値段が手頃だったのと、ケーブル作成でしか使わないのでオヤイデさんで売ってるDB-2という物を使ってます。エフェクターの自作とか、ギターの配線いじる人は測定値の出るものを買った方がいいかと思います。
  • トレー:パーツとかネジとか散らばらない様にするのに、100均とかで売ってるやつでいいので一つあると便利です。

用意する材料

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今回の材料

  • コンセント部のプラグ:PanasonicのWF5018K
  • 線本体:オヤイデ電気 PC-23
  • IECコネクター(いわゆるインレット端子):SCHURTER 4781
 今回は上記がセットになったオヤイデさんの電源ケーブル自作セットのPC-23 verを買っていますが、これは低予算で必要部材が揃うのと、PC-23という線材が加工しやすさに優れているので、初心者が扱う上では一番いいかなと思ったので選んでいます。(小冊子が付いていて作り方が懇切丁寧に書いてあるので、初めて作る人には一番おすすめです)
 実際作る際はオヤイデ電気さんなどに行くと、どの部品も沢山の種類があるので好きなものを選んでいいと思います。どれがいいのかわからない場合は店頭でスタッフの方に相談してみるのもいいと思います。僕もいつも色々相談に乗ってもらってます。

実際の作業工程

作業工程に関しては写真も添えつつ説明していこうと思うのですが、先に大まかな流れだけ書いておきます。
  1. プラグ類を分解する
  2. 必要なパーツを事前にケーブルに通す
  3. 線の被膜を剥く
  4. プラグに接続する
  5. テスターで導通を確認する
  6. プラグを組み上げる
  7. 完成

 

とても大雑把に言うとこの様な具合になります。それでは各工程の説明をしていきます。

 

電源プラグの分解

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まず電源プラグのプラグの面にあるネジ2本を緩めて、カバーと分けます。

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こんな感じになります。
次にカバー側ですが、クランプ部を緩めておきます(後でケーブルを通します)

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続いてIECコネクター側も開けていきます。

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ネジを緩めたら、少しずらして上下に分けます(2枚目参照)。
そして、3枚目の右上にあるパーツ(ブーツ)は今回は使用しませんので外してしまいます。(今回使用するPC-23の太さは通らないので使えない為)

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最後にケーブルのクランプ(挟んで固定する所)のネジを外しておけば準備完了です。

続いて手順2ですが、今回の場合はプラグ側のカバーのみが事前に線に通しておくパーツになります。

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 これが楽器用シールドケーブルの作成などの場合は両端のプラグのカバーと熱収縮チューブなどを通しておかないといけないので、時折何かを通し忘れて半田付けまでやってしまってやり直し...という事がありますが、今回は半田付けする場所もないので、万が一忘れてもフォロー可能なのであまり気にしなくても大丈夫です。

プラグの用意ができた所で、線の被膜を剥いていきます。

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 プラグ側は大体線の端から3cm、IECコネクター側は線の端から4cmを目安に、外側の被膜を剥いてください。ハサミで外周をグルっと切れ目を入れてあげて、取るといいでしょう。
 あまり強く切れ込みを入れると、内側の線の絶縁部分まで切ってしまうので、力の入れすぎには注意してください。

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中の線を露出させました。さらに各線の先端を10mmほど剥きます。

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 ご覧の様に、被膜を取ったら各線を撚ってまとめておきます。

 ちなみに、IECコネクター側の中の線は、黒/白の線を少し短めに加工してあげてください。外の被膜を4cm剥いた後、黒/白の線は5mmほど先端を切って短くしてから被膜を剥く感じです。
※コネクター内での線の取り回しの都合で、緑の線をやや長い状態にしておく必要があります。

 なお、線が黒/白/緑と3色ありますが、今回はこれらをそれぞれ黒→HOT、白→COLD、緑→GND(アース)へ接続していきます。大体の電源用ケーブルでこの中の色分けは共通です。違う場合も基本的に同じ色を同じ端子同士に繋げば大丈夫です。
 
プラグ、IECコネクター側にも目印があります。

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 パーツが透明な為、見づらいと思いますがご容赦下さい。上部の何も書いてない穴がHOT、左側のWとある所がCOLD、右よりのGと書いてある所の穴がGND(アース)と対応しています。
 ただ、今回はGNDの穴は使いません。何故かと言いますと、3ピンで作ってしまうと家庭内で使用する際の取り回しが不便になるからです。3ピンが刺せるタップか、変換プラグがないと使えない事がほとんどになってしまうので。直接刺せる3穴の壁コンセントは大体部屋に一箇所あるかどうかなので、3ピン仕様のままだと、家で使う場合に不便なんですよね...。
 3ピン仕様の方が、プラグ自体を支える部品が多いんでタップに刺した際にグラつかず安定するとか、メリットも当然あるんですけど、エフェクターなどに使用する分には音質的にあまり大きい差はないので、私としては使い勝手を優先した方が良いかなと思っています。

 余談になってしまいますが、内部でアースが明確に分離されている機器の場合だと、アース/コールドが共用になる2ピンケーブルを使用した場合に音質に影響が出たりもしますが、そこまできっちりした機器ってハイエンドのオーディオ機器とかになってくるので、少なくともエフェクターなどに使う上では極端な影響は発生しないのではないかと思っています。

 

 それで、この3ピンを使わないってどう言う事なのかという事ですが、先程の電源プラグをさらに分解します。先ほどの写真の真ん中のネジを外すと、この透明なカバーが外せます。

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 そうしたら、この写真だと下側のピンを外して、その後カバーを戻し、ネジをつけると2ピン仕様に切り替えられます。

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 こんな感じですね。下に写ってる奴が外したピンです。プラグの加工はこれで完了したので、線の方にも一手間加えます。プラグ接続側の緑の線は先ほどGNDのプラグを外した為、接続しなくなります。なので、絶縁してしまいます。

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 今回は熱収縮チューブを被せていますが、絶縁出来ればいいだけなので、ビニールテープなどを巻くとかでも大丈夫です。
そして、実際にプラグを接続していきます。

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 各穴の側面部分にネジがありますので、そこを緩めます。そうすると、穴の内部で板が動いて、穴のところに隙間ができます。撚った線をそれぞれ対応する穴に差し込んだ後、ネジを締めてやると、パーツが線を挟み込んで固定してくれます。これで接続は完了です。
 注意点としては、あくまでも挟み込んでいるだけなので、ネジをしっかり締めておかないと線を引っ張った際に線が抜けてしまう可能性があります。ねじ山を潰さない範囲でしっかりとネジを締めてあげてください。

 ここまできたら後はプラグのカバーをつけてあげて、クランプを締めてあげればコンセントプラグ側は完成です。

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続いて、IECコネクター側の結線をしていきます。

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 まず各端子のネジを緩めておきます。(こちらもネジを締めて挟み込んで接続する方式)

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 各端子に差し込んで、ネジを締めてあげます。最後にクランプを付けて、蓋を閉めればこちら側も完了です。クランプをつける際は外の被膜ごと大外から挟んでください。

 ちなみにIECコネクターも端子下部(写真だと線で隠れてしまう部分)に各端子の目印がついています。LがHOT、NがCOLDです。GNDは目印なしですが、真ん中なので間違えようがないので問題ないでしょう。海外製のものはL(Live)、N(Neutral)、E(Earth)という表記が一般的なんだとか。覚えておくと次作る時便利かもしれません。
 

 最後に、テスターでHOT同士とCOLD同士がちゃんと導通している事が確認出来たら、完成です。お疲れ様でした。
 蓋を閉めたらどこがどの端子かわからなくなっちゃう人向けにコツをお伝えすると、プラグとコネクターを頭から横並びにすると、逆三角形的な配置でCOLD/GND/HOTが同じ並び方になるので、それを参考にすると良いです。下の頂点がGND(アース)になる形です。
 
 なお、アースは今回片側しか接続されていないので、当然テスター当てても反応しませんが、これで正しいです。(仮にコンセント側のコールドとIECコネクター側のアースが導通したりしていると、漏電時に漏電ブレーカーが落ちてくれないなどの事象が発生してしまい、危険です。重ねて言いますが非常に危険なので気をつけてください。)


 最後に補足なのですが、この記事の最初の方で触れた手順では、テスター当てて確認の後、プラグを組みあげて完成って書いているのですが、説明する上では最後にテスターの方がわかりやすいかなという事で順序を前後させています。
 実際に作る上では、接続した段階で一度テスターを当てて、確認をしてからカバーを取り付けた方が作業の手戻りが少ない分、楽になるかと思います。組んでからテスター当ててなにか違う、ってなるとプラグ分解して繋ぎ直して...となるので。

 と、言う事で完成です。

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 最後に
 この手のレクチャー記事を書くのは初めてだったので、読みにくかったり、少々わかりにくいと言った部分もあったかもしれません。参考資料として、オヤイデ電気さんのブログ記事を添えておきますので、こちらも参考にしてみてください。それでは。