エフェクターの話をしよう

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A.D.D.(Audio Disruption Devices)/ L.A.G.(Lo-Fi Atmosphere Generator)

 こんにちは。ご無沙汰しておりましたが、今回はA.D.D.というメーカーのペダルを紹介します。

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 A.D.D.は正式にはAudio Disruption Devicesと言いまして、アメリカはインディアナ州の個人ビルダーによるブランドです。元々はホームページなどもなかったようで海外のペダルギークたちにひっそりと知られるようなブランドだったみたいです。最近ディーラーがついて国内にも入ってくるようになりました。

  そんなA.D.D.のペダルから、今回はL.A.G.というペダルを紹介します。このL.A.G.ですが、正式な名称は「Lo-Fi Atmosphere Generator」と言います。
 アナログ回路のデュアルディレイで、一般的なディレイとして音を反響させたり伸ばしたり出来るのですが、それに加えてドライの信号にウェットを纏わせるようにして、Lo-Fiなサウンドを作る事を主眼に置いたペダルとなっています。
 
 コントロールは、ディレイ1と2それぞれにtime、regen、そしてsignal aligner、signal mixerの6つですね。
 timeとregenはディレイでは定番のディレイタイムとフィードバックの設定ですね。2系統それぞれに設定出来ます。
 signal alignerは、それぞれのディレイのwet音の掛かり方を、series(直列)かparallel(並列)、あるいはその間の任意の所で設定するコントロールです。直列にするとディレイ1の後にディレイ2が掛かる形になり、並列にすると2つのディレイが同時に鳴ったような音になります。
 signal mixerはディレイのDryとWetの割合の調整ですが、L.A.G.はコンセプト上ディレイの音量が控えめになっていて、Wet側に振り切ってDry:Wetが1:1になるくらいの感じですね。
 また、内部にトリマが2つあって各ディレイのタイムをさらに伸ばす事が出来ます。伸ばすと同時にノイジーでカオスなサウンドになっていきますね。初期設定では絞り切られているので、よりノイジー、カオスにしたい人向けの拡張コントロールという感じですね。

 入出力は、インプット、アウトプットとセンターマイナス9Vの入力が上部側面に、左側の側面に2つエクスプレッション用のジャックが備えられています。このエクスプレッション用のポートには、別売で"Animator"というL.A.G.専用のモジュレーションユニットを販売されていて、それぞれのジャックに接続することでDelay1と2のタイムに作用させてディレイに景色が歪むような揺らぎと奥行きを与えることが可能、との事です。

 このAnimatorというユニットなんですが、現在(2022/04/04時点)では公式のHPには記載がありません。
 実は先日このAnimatorというユニットの機能を内蔵したL.A.G.のV2が発表されまして、別売りの必要がなくなったからラインナップから消えたのではないかと思われます。

 
 音の方は基本的に柔らかい感じのディレイ音で、空間を広げたり雰囲気を作るのが得意なペダルですね。Dryの音にWetを纏わせるような少し独特な掛かり方が特徴的です。
 ディレイという枠組みで考えるよりは、もう少し広い枠で空間系として考える方がいいようなペダルじゃないかと思いますね。個人的に近い印象を持っているのは、DigitechのDigidelayのモジュレーションモードの感じで、あの空気中に音が滲んで散っていく感じに近い表現が出来るのが自分としては好みのポイントです。

 あまり他で代用しにくい音の作れるペダルですし、近日(今月中くらい)にV2の国内入荷もあるようですので、気になる方はチェックしてみてください。

 

2022/4/23追記:V2を買いました。音量がさらに控えめになっている感があるので、より空間を広げる方向に、溶け込ませる方向にシフトしている感がありますね。ディレイ含めたフレーズで演奏をする人には向かないような気がしますが、逆にふわっと空間に馴染ませるような使い方をするにはより良くなっている印象です。ただユニット追加分だけ値段も上がっているので、もしV1があって比べられそうなら双方試してから選ぶと良さそうな気がします。

 それではまた次の記事でお会いしましょう。