エフェクターの話をしよう

ラッコ(twitter ID:rakko_lau)がエフェクターのレビューやらをするブログです。コメント等はお気軽にどうぞ。

Phantom fx / MOTHER

 こんにちは。
 今回はついにこのペダルのレビューをします。Phantom fx の「MOTHER」です。今回は割と前置きが長くなりますが、ご容赦ください。
 
 ペダルフリークの方なら名前くらいは耳にした事があるかもしれませんが、Phantom fxというブランドはART-SCHOOLやRopes、MONOEYESなど数多くのバンドなどで活躍されるギタリスト戸高賢史さんが主宰するペダルブランドでして、現役のギタリストが作るペダルという事もあり、一部には熱狂的なファンもいるブランドです。
 おおよそ2007年頃からひっそりとmixiなどのコミュニティなどを介して一部のペダルマニアの間で流通しておりまして、結構な数のモデル数が生み出され、そしてペダルフリークの間で流通していたりします。確か2012〜14年頃にはLEP INTERNATIONALさんが扱う形でネットショップなどで買う事の出来る機種も存在しました。 特に有名なペダルがLeqtiqueの主宰であるShun Nokinaさんとの共作である「Bells」というペダルで、これは自分も所有していますが、傑作ODの一つだと思っています。

 そんなPhantom fxですが、実の所2015年以後は戸高さんの本業の多忙さに比例して、ほぼ動きがなくもう再開されないのだろうかという雰囲気もあったのですが、2020年になりましてから休止状態になる以前にオーダーなどでそう多くない数だけ生産されたMOTHERというファズを復帰第一モデルとして唐突に復活が宣言されました。
...と、いうことでその肝心のMOTHERですが、こちらになります。
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 ちょっと大きめのオリジナル筐体です。MXR筐体などと比較すると縦は同じくらい、横が目測1.7倍くらいでしょうか...高さはRATと同じくらいですかね。 コントロールはVolume/Shape(一般的なtoneに相当)/Saturation(一般的なGainに相当)のシンプルな構成です。
 実は私は休止前に作られたMOTHER(以後、便宜上旧MOTHERと表記します)を所有している方から数年前に運良く譲ってもらう事が出来まして、それがこちらになります。f:id:rakko_lau:20210326195852j:plain
  こちらは普通のMXRサイズの筐体ですね。コントロールなどは同じですので割愛します。この旧MOTHERなのですが、実は手に入れた頃に他に同様にMOTHERを持っているペダルフリークの方達と集まって弾き比べてみた事がありまして、その際の感想としては、それぞれにかなり異なる個性がありました。 これに関しては当時、戸高さんがmixiなどでオーダーを受けていた際にそれぞれのプレイスタイルや好みのジャンルなどを聞いた上で調整を施していたらしいという事で、当時のものはそれぞれに合わせたワンオフ品のような性質が強かったようです。
 実際、当時持ち寄られた4台がシリアル1のプロト、2012年、2013年、2014年(これが私の所有個体)と少しずつ違う時期の個体が揃った形で、その際の様子がこちらの動画となっています。iPhoneのマイクなのでざっくりしかわからないと思いますが、結構違うのは伝わるかと思います。※この動画は当時自分がツイキャスで配信していたものの録画を、参加者の1人がYoutubeに上げなおしたものとなっております。
 
 そんな旧MOTHERの1台との比較などを交えつつ今回はレビューをしていきたいなと思います。 とは言っても、サイズやコントロールに関しては前述の通りなので、実際に音を出してみた感想からいきたいと思います。
 とりあえず音を出して最初の印象ですが、だいぶディストーション寄りなファズかな、と感じました。 その上で、ゲインを上げていくとより一層ディストーションっぽくなり、ゲインを少し抑え目にしてトーンをあげるとファズっぽいむっちりした所が出てくる感じがします。 そしてこのペダルの驚異的な所なのですが、パラメータがどこにあっても、極端な設定にしても音が破綻しないんです。尖った設定にしてもかっこいい音が出る。
 MOTHERは大元の回路で言うとビッグマフ系に分類されるそうなのですが、ビッグマフとは別物になっていると思いますね。もっと音が抜けるし、デッドポイントも少ないです。なんというかうまく言語化しにくいのですが、複雑な深みと、余裕のようなものを感じます。
 そこで、自分の所有している旧MOTHERとの違いに関して言及しますと、実は音の方向性としては割と似ていました。というかノブの設定同じ感じにすると結構近い音がします。 ただ、旧MOTHERの方がローがすっきりしていると言うか、よりディストーションぽく、硬さのある音がします。あとその硬さに由来したじゃじゃ馬感も少し感じます。
 他に大きな違いとしては、他の歪みとの相性ですね。旧MOTHERは少し合わせるものを選ぶ感じがあるのですが、新しいものは余裕のある音でちゃんと受け止めてくれる感じというか、どんなものを合わせても個性を殺さずに活かしてくれる感じがあるので、新MOTHERの方が使う場所を選ばない感じがします。
 
 兎にも角にも新生Phantom fxのMOTHER、めちゃくちゃ良いペダルだと思います。これが38000円+税で買えるの、すごい事だと思います。サステインのあるファズが欲しい方なら絶対損しないので、ぜひ手に取って欲しいですね。 今のところは抽選販売が行われていますが、今後ウェイティングリスト方式による受注生産も検討されているそうなので、手に入らないペダルではないのでぜひ。

 追記:先日自分以外の新MOTHERオーナーの協力のもと、2台並べての比較を行ってみたのですが、同条件においては個体差はほぼないと思われるくらい同じ音がしました。なのであまり個体差とか気にせず手に入れて良いかと思います。 
 
 それでは、今日はこの辺で。

 2021/4/4追記:ついに販売元のCULTにて、ウィッシュリスト方式での販売が始まりました。
 今から新規に登録した場合は10〜19ヶ月先とだいぶ先にはなってしまいますが、登録をしておけば、いずれ買えるという状態になったので、興味のある方はぜひ登録してみてください。(実際に出荷可能になった段階で購入意思の再確認が入るそうなので、そのタイミングで資金的に厳しいなどで辞退などは可能なはず)
 詳細はCULTのMOTHERの販売ページを参照してください。それでは。