エフェクターと電源に関する色々の話
エフェクターと電源の関係性
余談ですが、先日レビューしたHumangearのペダルの説明書に"電池(アルカリかマンガンか)によっても音が変わる"というような記載があったりしたので、その辺りも掘り始めると深い沼のような気はしますね。
エフェクターを扱う上で注意すべき事
実際に筆者はどうしているのか
後すごく余談の様な話になりますが、デジタル系の歪みエフェクターとアナログエフェクターの電源を混在させるのはあまりお勧めできません。実体験ですが、StrymonのRiversideというオーバードライブを使っていた時期に9V DCの各口がアイソレートされてない電源(確か当時使ってたのはFree the ToneのPT-1D)で電源供給したら、他の歪み(アナログペダル)にも電源供給していた結果、ノイズがかなり目立ったと言うことがありました。最終的にRiversideだけPT-1Dのコンセントからアダプター経由で電源取ることにして解決した事があります。
ペダル同士の相性とかもあるとは思いますが、デジタル系の歪みを使う場合は特に注意した方がいいかと思います。経験上、デジタル空間系とアナログ歪みを混在させる場合より影響が大きい気がしています。
29Pedals / EUNA
こんばんは。
本日はつい先日、国内取扱が始まったばかりの29PedalsのEUNAというペダルのレビューです。
まず29Pedalsというブランドなのですが、アメリカのロサンゼルスのブランドで、数多くのアーティストのレコーディング/PAエンジニアとして活躍されているJesse Honig氏によるブランドです。Slate Digitalなどで回路のデザインに携わっていた方のようですね。
サウンドエンジニアとしての目線から「音をトータルプロデュースする」事を目標にした製品デザインが特徴で、今回国内で取扱の始まったこのEUNA以外にも、29Pedalsのインスタグラムを見るとOAMPというアウトプットドライバーを開発中の様子です。
本題のEUNAですが、Elite UNity Amplifierの略称らしく、区分としてはバッファ/インプットドライバーという括りになるペダルです。
サイズとしては、こんな感じです。比較用にBOSSコンと並べてみました。
写真を見ていただくとわかるかと思いますが、コントロールがフットスイッチと三つのトグルスイッチしかありません。なかなか見ないレベルのシンプルさです。
トグルスイッチはH(Harmonics)/B(Bright)/L(Low)のコントロールで、それぞれ特定の帯域をプッシュします。HとBはどちらも中〜高域に効く感じですが、Hはギターのハーモニクス成分を強調するような効き方で、Bは高域がはっきりする感じの効き方と、それぞれ違う効き方をします。Lowはローエンドがふくよかな感じになります。
入出力はIN/OUTの他にSEND/RETURNがついています。このSEND/RETURNはEUNAがオフの際に有効になるループで、バッファを通してしまうと不都合のあるペダル、例えばビンテージ系のファズやワウ、後はバッファを通したくないチューナーなどをこのループに接続して使うようなものとなっています。なお、接続がない場合はEUNAをオフにするとトゥルーバイパスになります。
また、このペダルの電源は非常に特徴的な仕様となっていて、7.5から35V、ACまたはDC、センターマイナスまたはプラス全ての電源タイプに対応しています。対応する電源ならどんなものを繋いでも音質的に変化しないように設計されているんだとか。今まで見た事ないタイプの電源仕様なので非常に興味深いですね。
コントロールに関しては非常にシンプルなのでこれ以上書ける内容がないくらいなのですが、このペダルは更なる特徴としてDIYフレンドリーな設計になっています。
オペアンプがソケット式になっていたり、PCB基板にDIYのための手引きが書いてあったり...。電源部には触らず、基板を取り外さないでも手を入れられるように作ってあるようです。(なお、実際に改造をする場合、国内の保証は無効になってしまうので、その点は要注意です。改造の際は自己責任で!)
EUNAはこの様に仕様面だけ見てもなかなか面白いペダルなのですが、実際にギターを繋いで音を出してみると驚かされます。
全てのトグルスイッチをオフにした状態でバッファのみを有効にすると、この段階でも明確に音の抜けが良くなったように感じます。
さらに、各トグルをオンオフしてみると、プッシュされる帯域が楽器の音抜けに絶妙に効いてくる所だと感じられると思います。かなり絶妙なチューニングがされています。
使い方としては、まずは全部OFFの状態から、ギターや使うペダルに合わせて各トグルをオンオフしてみて、好みの音になるように調整してみるといいのかなと思います。使用するギター/ペダル/アンプによっては、HやBのトグルをオンにするとちょっとうるさく感じてしまう場合などもあるように感じたので。PUによっても変えていいと思います。
ちなみに僕の好みはフロントピックアップならHとLをオン、リアピックアップならLのみオンですね。
個人的にはギターを録る人にこそオススメしたいペダルだと思っています。多分録る時通しておくと後の処理が楽になるんじゃないかという気がします。(後で触るような帯域に効いてる気がするので)
サイズ感も思ったより大きくなくて、ギターのケースのポケットにでも放り込んでおけるサイズ感なので、クリーンを綺麗に鳴らしたい人や、ギターの録り音をよくしたい人にはぜひ一度試してもらいたいペダルです。
Humangear / FINE DS & ESSENCE
Phantom fx / MOTHER
今回はついにこのペダルのレビューをします。Phantom fx の「MOTHER」です。今回は割と前置きが長くなりますが、ご容赦ください。
そんなPhantom fxですが、実の所2015年以後は戸高さんの本業の多忙さに比例して、ほぼ動きがなくもう再開されないのだろうかという雰囲気もあったのですが、2020年になりましてから休止状態になる以前にオーダーなどでそう多くない数だけ生産されたMOTHERというファズを復帰第一モデルとして唐突に復活が宣言されました。
そんな旧MOTHERの1台との比較などを交えつつ今回はレビューをしていきたいなと思います。 とは言っても、サイズやコントロールに関しては前述の通りなので、実際に音を出してみた感想からいきたいと思います。
追記:先日自分以外の新MOTHERオーナーの協力のもと、2台並べての比較を行ってみたのですが、同条件においては個体差はほぼないと思われるくらい同じ音がしました。なのであまり個体差とか気にせず手に入れて良いかと思います。
それでは、今日はこの辺で。
2021/4/4追記:ついに販売元のCULTにて、ウィッシュリスト方式での販売が始まりました。
今から新規に登録した場合は10〜19ヶ月先とだいぶ先にはなってしまいますが、登録をしておけば、いずれ買えるという状態になったので、興味のある方はぜひ登録してみてください。(実際に出荷可能になった段階で購入意思の再確認が入るそうなので、そのタイミングで資金的に厳しいなどで辞退などは可能なはず)
詳細はCULTのMOTHERの販売ページを参照してください。それでは。
1995fx / sandy drive
こんにちは。
今回は近年私のお気に入りの1995fxというブランドのペダルを紹介します。
まず、1995fxの紹介ですが、2009年から札幌で活動しているビルダーさんのブランドです。 ビルダーの杉本さんは、以前Vianka(ex.ビアンカは死ぬことにした)というバンドでギターを弾いていたギタリストでもあります。
初期ラインナップはギター用のペダル中心でしたが、最近はベーシストの方がブランドに参加されて、ベース向けペダルのラインナップも増えていますね。中でもTHE NOVENBERSのベーシスト、高松浩史さんのシグネチャーペダル「Stomach ache」などが代表的ですね。 機材の修理や改造などの相談も受けてくれるので、もし気になる人はコンタクトを取ってみると良いかもしれません。(僕も昨年夏に相談をして、オーダーの2in1ペダルを製作していただきました)
- 直販サイトはこちら→https://1995fx.thebase.in
- ツイッターはこちら→https://twitter.com/1995fx_jp
ブランドの紹介はこのくらいにしておきまして、実際にペダルの紹介に移りたいと思います。 今回取り上げるのは、その中でも最初期から存在するペダルである「sandy drive」です。
sandy driveはMXR Distortion Ⅱをベースに作られたローゲインOD/プリアンプペダルで、独特なコンプ感とざらついた砂のような歪みが特徴のペダルです。
あまりハイゲインまでいくペダルではないですが、独特な雰囲気で他にない歪み方をするので、プリアンプ的に使うと個性が出せるペダルだと思います。僕は一時期ずっとボードに入れてかけっぱなしにしていた事もありますね。
コントロールは左からDirt(歪み量)/Filter(高域の調整)/Volume(音量)となっています。ゲインが左側にあるのは少し珍しいかもしれませんね。電源は内部昇圧をしている関係で9V入力しか対応していません。12Vとか18V入れると壊れるので、そこは気をつけてください。
厳密にいうと既にsandy drive自体は廃盤となっていまして、現在は後継期のsandy drive Ⅱがラインナップされています。(写真右がsandy drive、左がsandy drive Ⅱ)
変更点としては低域の調整用のLowノブが増えたり、よりプリアンプ的用途に向いた方向にコントロールの幅が取られていてローゲインでの調整がしやすくなっている、という感じですね。コントロールも左上からVolume/Dirt/Low/Filterと一般的な並び順に変わっています。
Ⅱになって、Lowの調整が出来るようになって、それこそベースにも使えるようになってより使える範囲が広くなったという感じですね。
歪み自体は粗い感じなんですが、ちゃんと弦の分離感があって、このペダルにしかない個性の光るペダルだと思います。現行品のⅡも良いですが、個人的には3ノブの初期モデルも個性があって良いと思うので、もし見かけることがあったら試してみて欲しいと思います。
今回はこんな感じで。また次の記事でお会いしましょう。