エフェクターの話をしよう

ラッコ(twitter ID:rakko_lau)がエフェクターのレビューやらをするブログです。コメント等はお気軽にどうぞ。

エフェクターと電源に関する色々の話

こんにちは。
今回はレビューではなく、コラムに近い内容です。
 
 ちょうど先日発売されたエフェクターブックのVol.51がパワーサプライ特集でしたし、この機会にエフェクターと電源に関してを考えてみよう、というような趣旨の記事になります。
 とは言っても、個人のブログでものすごく深堀りしてめちゃくちゃ長い内容をどうこうしようというものでもないので、もっと詳しい内容が知りたいという方はエフェクターブックのVol.51や、より深く学びたい人は高校物理の電気の部分に関する本を読んでみるのが良いかなと思います。
 
 また、私は専門家とかではないので、この記事を参考に何かをして故障しました、というような物に関しての責任は取る事が困難です。使用する電源ケーブルを自作するなどの作業に関してはテスターなどを用いた上で、自己責任でお願いします。後そういうのに神経質になる人や故障が怖い人はなるべく純正の付属品などを使ってください。
 

 

エフェクターと電源の関係性

 大前提としてエフェクター、電源がないと動きませんので必要不可欠なものである事は共通認識であるとは思うのですが、具体的に何がどう影響しているかというと大半の人はあまり意識していないのかなと思います。基本的に歪みペダルなどで使われる増幅素子などは、入力信号に反応して、電池やパワーサプライなどから「供給される電源を使って」増幅素子が生み出した新たな信号を出力するというプロセスを経ています。なので、電源にノイズが乗っていると必然、出力にノイズが乗るという事になったりします。
 
 そんな訳で、電源をちゃんとする、というのは結構重要な事になります。ちなみに最初に明言してしまいますが、電源由来のノイズが一番出ないのは電池駆動です。コンセント由来のノイズや、他の機器経由のノイズが乗らない分どうやってもパワーサプライよりはノイズが少ないです。「エフェクターは電池」派が根強く存在するのも、その辺りが理由の一つでしょう。私はどうにも都度の交換や残量管理が面倒だと思ってしまうタイプなので、パワーサプライを使っていますがこの辺はそれぞれの考え方によるかとも思います。
 もし電池は面倒だがノイズも抑えたい時は、最近はモバイルバッテリーを供給源に使えるものや充電池式のパワーサプライなどもあるので、そちらを検討してみるのも良いかもしれないです。ただスマホのバッテリーなどと同様、充電池の宿命とも言える経年劣化等による容量の低下などが起きるので、ある程度の頻度での買い替えが必須になるというコスト的な問題があったりはします。ただこれは何をどう使っても経年による故障とかがゼロになる事はないので、買い替え頻度などが他と比べて許容出来る範囲かどうかを基準に考えるのが良いのではないかと思います。
 余談ですが、先日レビューしたHumangearのペダルの説明書に"電池(アルカリかマンガンか)によっても音が変わる"というような記載があったりしたので、その辺りも掘り始めると深い沼のような気はしますね。
 

エフェクターを扱う上で注意すべき事

 基本的にプラグの規格や極性を確認した上で扱う事が絶対だと思います。その辺りを疎かにするとペダルやパワーサプライを壊す事に繋がるので、よく確認した上で使用しましょう。  特に分岐ケーブルを使う人は、余った端子にはカバーを付けておくようにしましょう。余った端子が金属部などに接触するとショートして、場合によっては火花が飛んだりして危険です。機器を壊す危険もあるので端子が余る場合には注意すべきポイントだと思います。
 
 安全面とは別の観点で、ノイズが気になる人はグラウンドループなどを確認した方がいいのですが、ここに関してはかなり複雑と言いますか、ある程度ボードを組んだりの経験を積まないと、具体的にどうすると抑えられるのかという辺りが掴みにくい部分であったりもする様に思います。自分も未だに論理立てて説明できない領域だったりします。
 個人的にはこの辺りを深く理解したい方は数多くのプロミュージシャンのシステム構築などをされてきたFree The Tone代表の林 幸宏さんが書かれた「ギタリストとベーシストのためのシステム構築マニュアル」という本を読んでみる事をお勧めします。ペダルボード構築における知識の入口にいいと思います。(Kindle Unlimitedの会員だと読み放題対象になっている為、0円で読めるみたいです。)
 

実際に筆者はどうしているのか

 こんな話をしている筆者はどういう感じでやってるの?という疑問もあるかと思いますので、実際にざっくりと紹介したいと思います。写真などは部屋の汚さが出てしまうので添えられないのですが...。
 
 まず、壁のコンセントからPC周りの機材を繋ぐタップと、エフェクターボードや部屋でちょっと音を出す用のミニアンプ(BOSSのKATANA-MINI)などに電源を供給するタップとの2つに分けて繋いでいます。単品のエフェクター試したりするときはそこのタップからパワーサプライに繋いで、という感じですね。後、自室のテレビや空調関連(空気清浄機とか)は別の壁コンセントからにしています。外部が原因のノイズが出やすいとしたらその辺りなので。
 
 実の所、タップや電源ケーブルも変えれば通電部が変わるのでそれなりに音に影響したりしますが、この辺りは出来るだけ気をつける程度でいいとも思います。あんまりタコ足配線した先で繋ぐのは安全面でもオススメしませんが、普通に生活してると他の家電とコンセントの取り合いになる事もありますし、あまり無理に分離しようとすると大変だと思うので、ノイズの出やすい機器(テレビとか冷蔵庫とか電子レンジ)と同じコンセントを共用しないのを意識するくらいでいいかと。後はタップの最大ワット数とかの定格を守るくらいでしょうか。
 
 使用しているパワーサプライは、エフェクターボード用はStrymonのZuma R300とOjaiで組んでいて、バラで繋ぐときとかはボードに組んでない余ってる適当なパワーサプライ(VitoosのDC8とかVital AudioのVA-08 mk2とか)を使う事が多いです。自分の手持ちにデジタル系のペダルも結構あるので、大きめの出力が用意されてる物を選ぶ事が多いです。
 DCケーブルはオヤイデのDC-3398シリーズを使う事が多いです。普通のパワーサプライ付属品などに比べると音がブライトになるので、空間系とかのペダルに使うと音の濁りとかが減っていい感じになるように思います。歪みの場合はまたちょっと違いますが、この辺の変化こそ好みの問題になるので、探求してみたい人は色々市販品とかでも試してみて欲しいと思います。結構バカに出来ない変化をしたりしますので。
 自分の場合、所によっては長さの都合などで自作品や人に作ってもらった物も使っていますが、自作ケーブルに関しては自己責任で使うべきものなので、誰にでもおすすめする事はしません。作れたら必要な場所にピッタリの長さで用意できるので便利ではあるし、線を変えると音の変化は確実に発生するので好みの音を追求したい方は試してみてもいいと思いますが、どうしても故障などのリスクがついてくるので、万人にオススメ出来るとは言い難いので。

 大体筆者の環境は上記のような感じです。必要に応じて長さとか決めて自作する人間なので市販品のみ使う場合には参考にならないかなとは思うのですが...。

 後すごく余談の様な話になりますが、デジタル系の歪みエフェクターとアナログエフェクターの電源を混在させるのはあまりお勧めできません。実体験ですが、StrymonのRiversideというオーバードライブを使っていた時期に9V DCの各口がアイソレートされてない電源(確か当時使ってたのはFree the ToneのPT-1D)で電源供給したら、他の歪み(アナログペダル)にも電源供給していた結果、ノイズがかなり目立ったと言うことがありました。最終的にRiversideだけPT-1Dのコンセントからアダプター経由で電源取ることにして解決した事があります。
 ペダル同士の相性とかもあるとは思いますが、デジタル系の歪みを使う場合は特に注意した方がいいかと思います。経験上、デジタル空間系とアナログ歪みを混在させる場合より影響が大きい気がしています。
 
...と、いう感じでざっくりとエフェクターと電源に関する話をコラム的に書いてみたのですが、いかがだったでしょうか。正直実験的な記事でもあるので、参考になるかどうかもわからないですし、次弾の記事を書けるかどうかもわからないのですが...。もし誰かの参考になったなら幸いです。また次のレビューでお会いしましょう。

29Pedals / EUNA

 こんばんは。
 本日はつい先日、国内取扱が始まったばかりの29PedalsのEUNAというペダルのレビューです。

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まず29Pedalsというブランドなのですが、アメリカのロサンゼルスのブランドで、数多くのアーティストのレコーディング/PAエンジニアとして活躍されているJesse Honig氏によるブランドです。Slate Digitalなどで回路のデザインに携わっていた方のようですね。

サウンドエンジニアとしての目線から「音をトータルプロデュースする」事を目標にした製品デザインが特徴で、今回国内で取扱の始まったこのEUNA以外にも、29Pedalsのインスタグラムを見るとOAMPというアウトプットドライバーを開発中の様子です。

 

本題のEUNAですが、Elite UNity Amplifierの略称らしく、区分としてはバッファ/インプットドライバーという括りになるペダルです。

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サイズとしては、こんな感じです。比較用にBOSSコンと並べてみました。

写真を見ていただくとわかるかと思いますが、コントロールがフットスイッチと三つのトグルスイッチしかありません。なかなか見ないレベルのシンプルさです。
トグルスイッチはH(Harmonics)/B(Bright)/L(Low)のコントロールで、それぞれ特定の帯域をプッシュします。HとBはどちらも中〜高域に効く感じですが、Hはギターのハーモニクス成分を強調するような効き方で、Bは高域がはっきりする感じの効き方と、それぞれ違う効き方をします。Lowはローエンドがふくよかな感じになります。


入出力はIN/OUTの他にSEND/RETURNがついています。このSEND/RETURNはEUNAがオフの際に有効になるループで、バッファを通してしまうと不都合のあるペダル、例えばビンテージ系のファズやワウ、後はバッファを通したくないチューナーなどをこのループに接続して使うようなものとなっています。なお、接続がない場合はEUNAをオフにするとトゥルーバイパスになります。

また、このペダルの電源は非常に特徴的な仕様となっていて、7.5から35V、ACまたはDC、センターマイナスまたはプラス全ての電源タイプに対応しています。対応する電源ならどんなものを繋いでも音質的に変化しないように設計されているんだとか。今まで見た事ないタイプの電源仕様なので非常に興味深いですね。

 

コントロールに関しては非常にシンプルなのでこれ以上書ける内容がないくらいなのですが、このペダルは更なる特徴としてDIYフレンドリーな設計になっています。
オペアンプがソケット式になっていたり、PCB基板にDIYのための手引きが書いてあったり...。電源部には触らず、基板を取り外さないでも手を入れられるように作ってあるようです。(なお、実際に改造をする場合、国内の保証は無効になってしまうので、その点は要注意です。改造の際は自己責任で!)

EUNAはこの様に仕様面だけ見てもなかなか面白いペダルなのですが、実際にギターを繋いで音を出してみると驚かされます。

全てのトグルスイッチをオフにした状態でバッファのみを有効にすると、この段階でも明確に音の抜けが良くなったように感じます。
さらに、各トグルをオンオフしてみると、プッシュされる帯域が楽器の音抜けに絶妙に効いてくる所だと感じられると思います。かなり絶妙なチューニングがされています。


使い方としては、まずは全部OFFの状態から、ギターや使うペダルに合わせて各トグルをオンオフしてみて、好みの音になるように調整してみるといいのかなと思います。使用するギター/ペダル/アンプによっては、HやBのトグルをオンにするとちょっとうるさく感じてしまう場合などもあるように感じたので。PUによっても変えていいと思います。
ちなみに僕の好みはフロントピックアップならHとLをオン、リアピックアップならLのみオンですね。


個人的にはギターを録る人にこそオススメしたいペダルだと思っています。多分録る時通しておくと後の処理が楽になるんじゃないかという気がします。(後で触るような帯域に効いてる気がするので)
サイズ感も思ったより大きくなくて、ギターのケースのポケットにでも放り込んでおけるサイズ感なので、クリーンを綺麗に鳴らしたい人や、ギターの録り音をよくしたい人にはぜひ一度試してもらいたいペダルです。

 

 

Humangear / FINE DS & ESSENCE

こんにちは。
今日は前々から気になっていたHumangearのペダルを手に入れたので、取り上げていこうと思います。
 
まずHumangearというブランドに触れていきますが、八木浩さんという方が作っておられるペダルブランドで、国内外の多くのミュージシャンからの評価が高く、なおかつこだわりの強いペダルが生み出されているという事で有名です。
使用者で特に有名な方だと、VIVACEというブースター/オーバードライブをベンジーこと浅井健一さんが使用されてるとかその辺りでしょうか。自分も好きな某バンドのギターボーカルの方が一時期使われていたりで興味のあったメーカーだったりします。
 
そんなこんなで前々からいつかは手にしたいなと思っていたHumangearのペダル、先日ハードオフネットモールにてお買い得な個体を見つけて即購入したのがこちら。
 

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FINE DSです。
FINEの読みはファインではなくフィーネだそうです。今回はディストーションですが、オーバードライブ(FINE OD)もありますね。
 
コントロールはVOL/DIST/TONEと二つのトグルスイッチ。
トグルスイッチは左がクリッピングの切り替え(上が対称/下が非対称)、右がプレゼンスの調整ですね。クリッピングを対称にすると上下が落ち着いて扱い易いオーバードライブっぽい感じに、非対称にするとやや荒々しいRATのようなキャラクターになります。自分が最初弾いた時の感想が確か「高級なRATの音がする」とかそんな感じだったような...。僕の好みは非対称モードですね。プレゼンスの調整はどちらが絶対に良いという感じのものではなく、繋ぐアンプやギターに合わせて切り替えると良いかなという効きをしますね。
各つまみについては、TONEがやや音量感に作用する感じの効き方をするので、基本的にはDISTを調整し、TONEで音の抜けなどを調整した後にVOLで音量を整えるようにすると扱い易いかなと思います。
 
音の方向としてはリッチな音のRAT系?という感じの印象なんですが、どうもHumangearとしてRATを意識したペダルはANIMATOというモデルがあるようでして、こちらは特にRAT系とかそういう訳でもないようです。
個人的にはすごくド王道に扱いやすく、これぞディストーションって音がするので買って良かったなって思うペダルです。単純に自分好みな音なのも大きいですが。
新品だと高級品な価格帯なのと、比較的流通数が多い為中古もそれなりに出ているので、中古などで値頃な個体があったら試してみて欲しいな、と思います。
 
今回の記事はここで終わりではありません。
実はFINE DSを手に入れた直後にご縁がありまして、もう一台Humangearのペダルを手に入れてまして、そちらのレビューもしたいと思います。
 

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それがこちら、ESSENCEです。
こちらはオーバードライブでして、Humangearの中では最新作と言えるペダルです。(と言ってもおそらく出てから多分2年は経ってますが)
 
コントロールはVOL/GAIN/TONEとトグルスイッチが一つ。
GAINは右に回すと歪みと同時に中域が増えます。TONEは右に回すほど高域が出る一般的仕様ですが、説明書によるとアンプ次第ではあるものの、おおよそ時計で11時〜14時の辺りでほぼフラットになるそうです。
トグルスイッチは高域の調整スイッチで、下にすると少し高域が強く、そして音量がやや大きくなります。
 
音の方向としては、トランスペアレント系とケンタウロス系の間くらいの感じといいますか、クリアな中に特徴のある中域が混じるオーバードライブという感じでしょうか。Bondi effectsのDel marをケンタウロスに寄せたらこんな感じかも?という雰囲気があります。また結構な音量が出せるので、アンプ前においてブーストするような用途が合いそうです。
 
このペダルは9Vを超える電圧での使用をすると故障するそうなので、使用の際には気をつけてください。おそらくは昇圧回路などが入ってるんだと思われます。
また、説明書によると電池を使用する場合はアルカリ電池、特にプロセルが推奨らしいです。加えてマンガン電池を使用するとトーンが柔らかい感じになると記載されてました。この辺は電池派の人に試してもらいたい気もしますね。自分はコスト的に電池使わないでパワーサプライ使っちゃうので...。
 
そんな訳で、Humangearのペダルを2台レビューしてみました。個人的にはどちらも好みのペダルでしたね。
今回紹介した以外にも、多種多様なペダルが出ていて、中には「扱いが難しいがハマるとすごくいい」というタイプのペダルもあるので、興味が出たら試してみてください。基本的には真空管アンプ向きなメーカーだと思います。
 
それでは、今日はこの辺りで。

Phantom fx / MOTHER

 こんにちは。
 今回はついにこのペダルのレビューをします。Phantom fx の「MOTHER」です。今回は割と前置きが長くなりますが、ご容赦ください。
 
 ペダルフリークの方なら名前くらいは耳にした事があるかもしれませんが、Phantom fxというブランドはART-SCHOOLやRopes、MONOEYESなど数多くのバンドなどで活躍されるギタリスト戸高賢史さんが主宰するペダルブランドでして、現役のギタリストが作るペダルという事もあり、一部には熱狂的なファンもいるブランドです。
 おおよそ2007年頃からひっそりとmixiなどのコミュニティなどを介して一部のペダルマニアの間で流通しておりまして、結構な数のモデル数が生み出され、そしてペダルフリークの間で流通していたりします。確か2012〜14年頃にはLEP INTERNATIONALさんが扱う形でネットショップなどで買う事の出来る機種も存在しました。 特に有名なペダルがLeqtiqueの主宰であるShun Nokinaさんとの共作である「Bells」というペダルで、これは自分も所有していますが、傑作ODの一つだと思っています。

 そんなPhantom fxですが、実の所2015年以後は戸高さんの本業の多忙さに比例して、ほぼ動きがなくもう再開されないのだろうかという雰囲気もあったのですが、2020年になりましてから休止状態になる以前にオーダーなどでそう多くない数だけ生産されたMOTHERというファズを復帰第一モデルとして唐突に復活が宣言されました。
...と、いうことでその肝心のMOTHERですが、こちらになります。
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 ちょっと大きめのオリジナル筐体です。MXR筐体などと比較すると縦は同じくらい、横が目測1.7倍くらいでしょうか...高さはRATと同じくらいですかね。 コントロールはVolume/Shape(一般的なtoneに相当)/Saturation(一般的なGainに相当)のシンプルな構成です。
 実は私は休止前に作られたMOTHER(以後、便宜上旧MOTHERと表記します)を所有している方から数年前に運良く譲ってもらう事が出来まして、それがこちらになります。f:id:rakko_lau:20210326195852j:plain
  こちらは普通のMXRサイズの筐体ですね。コントロールなどは同じですので割愛します。この旧MOTHERなのですが、実は手に入れた頃に他に同様にMOTHERを持っているペダルフリークの方達と集まって弾き比べてみた事がありまして、その際の感想としては、それぞれにかなり異なる個性がありました。 これに関しては当時、戸高さんがmixiなどでオーダーを受けていた際にそれぞれのプレイスタイルや好みのジャンルなどを聞いた上で調整を施していたらしいという事で、当時のものはそれぞれに合わせたワンオフ品のような性質が強かったようです。
 実際、当時持ち寄られた4台がシリアル1のプロト、2012年、2013年、2014年(これが私の所有個体)と少しずつ違う時期の個体が揃った形で、その際の様子がこちらの動画となっています。iPhoneのマイクなのでざっくりしかわからないと思いますが、結構違うのは伝わるかと思います。※この動画は当時自分がツイキャスで配信していたものの録画を、参加者の1人がYoutubeに上げなおしたものとなっております。
 
 そんな旧MOTHERの1台との比較などを交えつつ今回はレビューをしていきたいなと思います。 とは言っても、サイズやコントロールに関しては前述の通りなので、実際に音を出してみた感想からいきたいと思います。
 とりあえず音を出して最初の印象ですが、だいぶディストーション寄りなファズかな、と感じました。 その上で、ゲインを上げていくとより一層ディストーションっぽくなり、ゲインを少し抑え目にしてトーンをあげるとファズっぽいむっちりした所が出てくる感じがします。 そしてこのペダルの驚異的な所なのですが、パラメータがどこにあっても、極端な設定にしても音が破綻しないんです。尖った設定にしてもかっこいい音が出る。
 MOTHERは大元の回路で言うとビッグマフ系に分類されるそうなのですが、ビッグマフとは別物になっていると思いますね。もっと音が抜けるし、デッドポイントも少ないです。なんというかうまく言語化しにくいのですが、複雑な深みと、余裕のようなものを感じます。
 そこで、自分の所有している旧MOTHERとの違いに関して言及しますと、実は音の方向性としては割と似ていました。というかノブの設定同じ感じにすると結構近い音がします。 ただ、旧MOTHERの方がローがすっきりしていると言うか、よりディストーションぽく、硬さのある音がします。あとその硬さに由来したじゃじゃ馬感も少し感じます。
 他に大きな違いとしては、他の歪みとの相性ですね。旧MOTHERは少し合わせるものを選ぶ感じがあるのですが、新しいものは余裕のある音でちゃんと受け止めてくれる感じというか、どんなものを合わせても個性を殺さずに活かしてくれる感じがあるので、新MOTHERの方が使う場所を選ばない感じがします。
 
 兎にも角にも新生Phantom fxのMOTHER、めちゃくちゃ良いペダルだと思います。これが38000円+税で買えるの、すごい事だと思います。サステインのあるファズが欲しい方なら絶対損しないので、ぜひ手に取って欲しいですね。 今のところは抽選販売が行われていますが、今後ウェイティングリスト方式による受注生産も検討されているそうなので、手に入らないペダルではないのでぜひ。

 追記:先日自分以外の新MOTHERオーナーの協力のもと、2台並べての比較を行ってみたのですが、同条件においては個体差はほぼないと思われるくらい同じ音がしました。なのであまり個体差とか気にせず手に入れて良いかと思います。 
 
 それでは、今日はこの辺で。

 2021/4/4追記:ついに販売元のCULTにて、ウィッシュリスト方式での販売が始まりました。
 今から新規に登録した場合は10〜19ヶ月先とだいぶ先にはなってしまいますが、登録をしておけば、いずれ買えるという状態になったので、興味のある方はぜひ登録してみてください。(実際に出荷可能になった段階で購入意思の再確認が入るそうなので、そのタイミングで資金的に厳しいなどで辞退などは可能なはず)
 詳細はCULTのMOTHERの販売ページを参照してください。それでは。

1995fx / sandy drive

 こんにちは。
 今回は近年私のお気に入りの1995fxというブランドのペダルを紹介します。

 まず、1995fxの紹介ですが、2009年から札幌で活動しているビルダーさんのブランドです。 ビルダーの杉本さんは、以前Vianka(ex.ビアンカは死ぬことにした)というバンドでギターを弾いていたギタリストでもあります。

 初期ラインナップはギター用のペダル中心でしたが、最近はベーシストの方がブランドに参加されて、ベース向けペダルのラインナップも増えていますね。中でもTHE NOVENBERSのベーシスト、高松浩史さんのシグネチャーペダル「Stomach ache」などが代表的ですね。 機材の修理や改造などの相談も受けてくれるので、もし気になる人はコンタクトを取ってみると良いかもしれません。(僕も昨年夏に相談をして、オーダーの2in1ペダルを製作していただきました)

 ブランドの紹介はこのくらいにしておきまして、実際にペダルの紹介に移りたいと思います。 今回取り上げるのは、その中でも最初期から存在するペダルである「sandy drive」です。

 sandy driveはMXR Distortion Ⅱをベースに作られたローゲインOD/プリアンプペダルで、独特なコンプ感とざらついた砂のような歪みが特徴のペダルです。

 あまりハイゲインまでいくペダルではないですが、独特な雰囲気で他にない歪み方をするので、プリアンプ的に使うと個性が出せるペダルだと思います。僕は一時期ずっとボードに入れてかけっぱなしにしていた事もありますね。

 コントロールは左からDirt(歪み量)/Filter(高域の調整)/Volume(音量)となっています。ゲインが左側にあるのは少し珍しいかもしれませんね。電源は内部昇圧をしている関係で9V入力しか対応していません。12Vとか18V入れると壊れるので、そこは気をつけてください。

 

 厳密にいうと既にsandy drive自体は廃盤となっていまして、現在は後継期のsandy drive Ⅱがラインナップされています。(写真右がsandy drive、左がsandy drive Ⅱ)

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 変更点としては低域の調整用のLowノブが増えたり、よりプリアンプ的用途に向いた方向にコントロールの幅が取られていてローゲインでの調整がしやすくなっている、という感じですね。コントロールも左上からVolume/Dirt/Low/Filterと一般的な並び順に変わっています。
 Ⅱになって、Lowの調整が出来るようになって、それこそベースにも使えるようになってより使える範囲が広くなったという感じですね。

 歪み自体は粗い感じなんですが、ちゃんと弦の分離感があって、このペダルにしかない個性の光るペダルだと思います。現行品のⅡも良いですが、個人的には3ノブの初期モデルも個性があって良いと思うので、もし見かけることがあったら試してみて欲しいと思います。

 今回はこんな感じで。また次の記事でお会いしましょう。