エフェクターの話をしよう

ラッコ(twitter ID:rakko_lau)がエフェクターのレビューやらをするブログです。コメント等はお気軽にどうぞ。

Barbarossa / GARGOYLE

こんにちは。今回はBarbarossa GARGOYLEというディストーションのレビューです。

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 このペダル、凛として時雨のTKさんのエフェクターボードに入っていることで有名なやつですね。ただし「TKさんが使ってる、めちゃくちゃ高い、全然出回らない」、それ以外の情報があまりない、ある種謎に包まれたペダルでもありますね。2008年頃から売ってるらしいんですが、そもそも近年は全然出回ってる雰囲気がありませんし入手難易度がかなり高いです。自分もめちゃくちゃタイミング良く新品手に入れられましたけど、購入店の店員さん曰く「これ確か数年前に注文してたやつがやっと来た感じらしいです」とかそんな事をおっしゃってたので...。供給が多くない類のペダルですね。

 

 そんな謎の多いペダルを出しているBarbarossaというブランドなのですが、福井県のnew toolという会社のブランドで、クライオ処理などを施した上で独自筐体を使ったエフェクターを製作しているブランドです。他にスピーカーケーブルやシールドなどもラインナップにあるようですね。どうも会社の事業の中に物性処理事業(ここでクライオ処理などをしているらしい)というのがあるようで、もしかするとそちらからの発展なのでしょうか。

 ちなみに先ほどから出ている、クライオ処理って何なのかと言いますと、すごーく大雑把に言うと、超低音で金属部を処理することで分子配列などを整えてあげる、といった処理らしいです。

......またオーディオオカルトか?という気もしないではないんですが、その辺に関しては正直ちょっと判断材料がないので詳しい言及は控えたいかなという気がします。(極低温にすることで物体の電気的な抵抗値が下がる現象自体は、リニアモーターカーなどの技術に使われてる超電導という現象が存在しているので一概にオカルトとも言いづらいですし)

 

 このBarbarossaというブランドのペダル、クライオ処理以外にもフラッグシップモデル(CHIMAERA、GARGOYLEの2機種)ではかなり独特な独自筐体を使っていると言う特徴がありまして、なるべくパーツ間でのノイズなどを対策する為に各パーツごとに小部屋に区切られたアルミ削り出しの筐体を使っています。その為か、やたら重いです。キッチンスケールに乗せてみたら740g程度ありました。また、下に写真を添えますが、ケースの蓋を閉めるネジにかなり特殊なネジ(いじり止めトルクスネジ)を使っていて、回路がある部分は簡単に開けられないようになっています。下側の銀のネジだけ普通のプラスネジで、こちらを外すと電池が入るスペースが開けられます。(開けてみると筐体の壁の厚みがすごい厚い)

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 後この特徴的なアルマイト塗装のケース、色が黒いGARGOYLE特有なのかはわかりませんが、マットな質感故に触ったり爪が擦ったりした際に白い跡がついたり、汚れが結構目立ちやすいです。ティッシュなどで拭けば取れる感じなので傷つきやすいとは違うのですが...。

 

 それでは、ペダル本体について触れていきましょう。コントロールは左からLEVEL、TONE、DRIVEの3つで、他にトグルスイッチとかもないですしシンプルなコントロールですね。

 このペダル、とにかく音が大きいです。LEVEL、DRIVE共に9時くらいでユニティゲインより少し音量大きいかと思います。両方12時の時点でも一般的には大音量の類だと思います。CHIMAERAの方も持ってる人曰く音でかいらしいので、Barbarossaのペダル共通なのかもしれませんね。

 TONEは中高域〜高域を中心に効いている感じで、右に回すと若干音量も大きくなったように聞こえます。全く使えないようなポイントがある感じではないにせよ、15時以上になってくるとサーッと言うホワイトノイズのような成分が入ってきたりするのと、12時時点でも十分に高域が出てる感じなので、11時〜14時くらいでお好みに合わせて調整するのが良いのではないかという印象です。多分上げすぎるとノイズの有無に限らずうるさいような気がします。

 DRIVEは歪み量と共に音量も上がる感じです。絞り切っても音が出るので、DRIVEを絞ってLEVELを上げるとクリーンブースターにもなります。上げ切ってもちゃんとディストーションらしい歪み方をしてくれます。

 

 このGARGOYLEというエフェクター、どうカテゴライズしたものかと少し悩んでいたのですが、色々な歪みを改めて弾いたりしてみた結果、歪みの質としてはMad professorのStone Gray Distortionに近い気がします。割と硬めのディストーションサウンドと言う感じ。ただ明確に違う点もあって、低域の量感や音の押し出し感といった部分がGARGOYLEの方がはっきりと分かるくらい強いです。あとハイエンドなブティックペダルには比較的多く見られる傾向ですが、音が速い感じがします。

 多分これは独自筐体の重量などに起因しているような気がするのですが、GARGOYLEは低域がまるでコンクリの壁が飛んでくるかのように出ます。歪み量以上に音量で壁感が出てくるので、いわゆるウォールサウンドを作るディストーション(例えばシュレッドマスターとか)と違う方向の壁感があります。踏むだけで妙に音に迫力が出るといいますか...。こういう音の出方するペダルもなかなかないような気がしますね。これが普通のバンドで使いやすいかどうかって言われるとやや悩ましい気もしますが...。楽器の本数が増えてくるとローが強いが故に他の楽器とぶつからないようにするのが大変になるような気がしなくもないので。

 

 結論としては、これにしか出せない音というのが明確にあるタイプのペダルじゃないかと思います。値段がめちゃくちゃ高い(昔から12万+税なので現状132000円する)のと、純粋に生産台数が少ないのでレアなのは間違いないんですが、現在も生産されてるのでもしも見つけて試せるタイミングで興味があったら是非試してみてください。

 余談になりますが、私が買った新品が250番台なので、2008年の発売から12年でこの生産数とすると、平均したら年に20台前後しか生産されてないと言うことになりますね...。そりゃ全然見かけないはずですね...。(聞く所によるとCHIMAERAも生産台数は似たような物らしいとか)

 

 もし新品を狙う、という場合は現在の取扱代理店がNAZCAケースなどで知られるBirdland Guitars(有限会社バードランド)さんなので、Birdland GuitarsのSNSとか張ってると入荷情報とかが出てくる可能性があるので、気にしておくといいかもしれません。自分もその方法で確保したので...。

 

それでは。また次の記事でお会いしましょう。