エフェクターの話をしよう

ラッコ(twitter ID:rakko_lau)がエフェクターのレビューやらをするブログです。コメント等はお気軽にどうぞ。

novels / ODR-1 LTD

こんにちは。今回は少しニッチなペダルの話。

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 novelsのODR-1 LTDです。
 

 novelsはドイツのエフェクターブランドで、ベルナルド・クルスケとカイ・タチバナ(日本人名ですがドイツの方だそうです)の二人によって発足したペダルブランドです。代表機種はODR-1、今回紹介するペダルのルーツにあるペダルですね。
 どうもメーカーとしての歴史は結構長いようで、1980年代から活動しているみたいです。当初はヘッドフォンアンプやラックタイプのマルチエフェクターなどを製作していたらしく、90年代にコンパクトエフェクターをリリースした以降もラック系の機器やアンプ、MIDIフットスイッチャーなども生産していたようです。あと安いプラっぽい筐体のフェンダーのペダルのOEMを担当していたのもこのNovelsだったようです。詳しくはドイツ語のページになりますが、公式サイトにメーカー史があるのでそちらを参照してみてください。

 →https://nobels.de/history/

 
 ちなみにオリジナルのODR-1も値段は確か実売で7000円とかそのくらいだったらしいので、基本的には安エフェクターとか言われるようなブランドですね。ただ値段の割にいい感じの音が出るという事もあって、海外ギタリストのペダルボードにさりげなく入っている事があったりするんですよね。日本で言うなら多分BEHRINGERのコンパクトシリーズとかに近いポジションなのかもしれませんね。

 さて、今回の本題のODR-1 LTDですが、オリジナルのODR-1が海外ギタリストなどの間でカルト的な人気を得た後、2019年になってからベースカットスイッチを追加したアップデートバージョンのODR-1 BCというモデルが出まして、それの限定カラーという位置付けのものです。
 国内には代理店の日本エレクトロハーモニクスが20台のみ入荷したようで、発表から2〜3日でなくなった模様です。ODR-1 BCはライトグリーンというか黄緑色なんですが、LTDの方はメタリックなグリーンになっています。他の違いとしては、通常版は外箱がグリーンですが、LTDではブラックになっていて、限定版の証明書がついてきます。
 ペダルの中身は通常カラーのODR-1 BCと一緒です。違いの割に値段が7000円くらい高かったので、内心ちょっともやっとしそうになります...。

 話を戻しますが、元々ODR-1というペダル、あの緑の見た目からTS系を意識したペダルのように見えるんですが、その割に音がTSっぽくないのです。なんというかもっと硬い音ですし、EQというかトーンコントロールが独自のものになっている事もあって、使い勝手も随分と違うといいますか...。
 どうも開発の経緯によると、TSが流行っている中で開発者がTSの中域のピークが好みでなかったそうで、開発者が持っていた40WのFender Bassman(ブラックフェイス)の音を志向して開発されたらしいとか。(こちらもドイツ語のページがあるのでそちらを参照してみてください)

 →https://nordland-electronics.de/blog/odr-1.html
 

 どうやら開発者の方は現在では独立してNordland electronicsという会社を設立しているようで、こちらからORD-1のリプロダクトのようなODR-Cというペダルをリリースしているみたいですね。(こちらもリンク先はドイツ語です。)

 若干余談ですが、Novelsのコンパクトペダルシリーズには少し珍しい部分がありまして、ペダルボードに組み込む事を前提とした機能が豊富だったりします。一つはアンラッチのリモート端子がついている事で、スイッチャーのリモート端子などを使ってオンオフのコントロールが可能になってます。もう一つが本体底面にボード固定用の金具が標準装備になっている事です。使うかは別として選択肢があるのはありがたいですね。

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ご覧のように金具が付いていて、ボードへねじ止めする事ができるようになっている

 

 話を戻しまして、ODR-1 LTDのコントロールですがDRIVE、SPECTRUM、LEVELの3ノブに、電池ボックス内からアクセスできるベースカットのミニスイッチとなっています。

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電池ボックスを開けたところ。左側にある小さいスイッチがベースカットのスイッチ。

 DRIVEは歪みの量を、LEVELは音量を調整する一般的なコントロールですが、トーンコントロールに相当するSPECTRUMがかなり独特な効果です。右に動かすと中低域と高域が増え、左に動かすと低域と高域が減ります。ただしどの位置でも中域は変わりません。右に回していくとややドンシャリな荒々しい感じのサウンドになり、左に回していくと中域をそのままに、ブルースなどに向いた甘くて太めな音へ、悪く言うとちょっと抜けない感じの音になっていきます。
 また、中域が変化しないのでシングルコイルをハムバッカーのように太くする事ができるともありますね。(その上でハムバッカーを繋ぐ際などのためにベースカットスイッチを増設した、という事らしい)


 実際使ってみると、SPECTRUMの効き方が独特なので、慣れは必要かも知れませんが結構使いやすい気がします。自分はSPECTRUMを7くらいの位置にしてDRIVEとLEVELは欲しい歪み量と音量に応じて設定、と言う感じが好きな感じでした。ブルースとかが守備範囲外で弾かないので、どうしてもSPECTRUM上げる方向になりますね...。

 まとめると、少し珍しいキャラクターのオーバードライブなので、試してみてハマる人にはすごくいいペダルだと思います。好みに合う合わないは明確に出る類のペダルだと思うので、気になる方はぜひ試してみてください。
 参考までに言うと通常モデルのODR-1 BCは新品の実売価格が1万5000円弱ですし、中古ならもっと手に入れやすい価格で出てくるんじゃないかと思います。

 それではまた次の記事でお会いしましょう。