エフェクターの話をしよう

ラッコ(twitter ID:rakko_lau)がエフェクターのレビューやらをするブログです。コメント等はお気軽にどうぞ。

Phantom fx / Sabbath "Black Gaze"

 こんにちは。今回はこちらのPhantom fxのSabbath "Black Gaze"についてです。


 このブログでは過去にも記事を書いたPhantom fx。ART-SCHOOLMONOEYESなど多くの所で活躍されているギタリスト、戸高賢史さんによるエフェクターブランドです。

 そんなPhantom fxから満を持して発表された新作がこちらのSabbath "Black Gaze"です。
 2020年に活動を再開する以前の、戸高さんが一人でやっていた頃のPhantom fxにおける最初のモデルが1ノブファズのSabbathで、その最新版になります。

 初代のSabbathというペダルは、音量と音圧を操作するノブが1つだけで、余計なものを徹底的に削ぎ落としたタイプのファズディストーションです。源流にはBig Muff系の音があるようなのですが、色々なものを削ぎ落とした結果として、ハイゲインでありながらレスポンスがいいという特徴を持ったペダルでした。
 その後、トーンコントロールが増えたSabbath Fogや、モード切り替えが追加されたSabbath Mk2、他にも多くの派生モデルが作られたSabbathの最新の形がこのBlack Gaze、との事です。

 自分も以前Sabbath Mk2を所持していて、後に初代のSabbathやSabbath Fogを手に入れて今も所持しているので、非常に楽しみにしていた一台です。

筆者が所持しているSabbathシリーズ。右から初代、Fog、Black Gaze。


 最新版ではFogなどにあったトーンコントロールは廃され、ノブは1つのみです。ただし内部にトレブルを調整するトリマが追加されていて、高域が出過ぎた場合に抑えることができるようになっています。そして、最大の変化がピックアップシミュレーション回路の搭載です。

  ファズを使ったことのある人なら多分経験があると思いますが、ファズペダルはインプットインピーダンスの値が低いものが多くて、ファズの前で別のペダルが入ったりすると急に音が変化するといった事が多いのですが、それらを解消するために、今回トランスを用いた回路を入れる事で、どのようなインピーダンスの信号が入っても一定のインピーダンスに変換する為、ボードのどの位置に入れても安定した動作が可能になっているそうです。

 この辺りの話は長くなると飽きがきますし、興味のある人は制作に関しての話などが詳しく書かれている、販売店のCULTさんの商品ページの方を見てみてください。過去のモデルの話などもあり読み物としても読み応えあると思うので。

Sabbath “Black Gaze”www.cult-pedals.com




 実際にモノを見ていきましょう。こちらがBlcak Gazeです。筐体は活動再開後のモデルであるMOTHERと同様の金属筐体ですね。サイズはBlack Gazeの方が横幅がいくらかコンパクトになっています。

MOTHERとのサイズ比較。縦と高さは同じで、横幅がややスリムになっています。

 

 カラーは初代Sabbathを彷彿とさせるセミグロスのブラックですね。

 コントロールは表にあるのはDIRTという歪み量と音量を操作するノブ1つです。内部に前述の通りハイカットのトリマがあります。この2つだけです。非常にシンプルですね。ハイカットのトリマは微調整のための物なので、基本的にはDIRTのみで完結しているペダルと言えると思います。
 内部のトリマをいじった際の変化は販売店のCULTさんのTwitterにて投稿されていますので、そちらを参照ください。

 

 音に関してですが、初代Sabbathの根底にあった「反応の早いファズディストーション」という要素はそのままですが、反応の良さがさらに磨き上げられているように感じます。ギターのボリュームを絞ることで、ディストーション寄りのサウンドに持っていったり、ボリューム全開で暴れ放題のファズサウンドを出したり、手元だけでも結構広い歪みの幅を行き来する事が出来ました。また、自分の感覚では音に少しトライアングルマフに通ずるような金属的要素も感じました。同ブランドのMOTHERの改良モデルであるMOTHER+と比べた際、MOTHER+の方がマッチョな感じで、Black Gazeは切れ味鋭い感じがしますね。

 ただし扱いやすいのは12時までで、そこから先はかなり凶暴なサウンドです。12時以降にゲインを上げていくと格段にゲインと音量が増し、ノイズもマシマシになります。MAX付近で上手く扱える人、いるのかなと思うくらいに暴れます。

 実際に弾いた映像をTwitterで公開してあるので、参考までにそちらを添えておきます。(弾いているのは知人で、私は撮影のみです)
 ギターのボリュームも触ったりしつつ弾いていて、初代Sabbathとの比較もしてみています。(ただし音量の都合で基本的にBlack Gazeは9時くらいのセッティングです)


 誰にでもおすすめ出来る扱いやすいペダルかと言われたらそんなことはないのですが、圧倒的な個性を感じる傑作ペダルだと思います。音を出したら一音目からカッコいいんですよね...。ある種、弾き手への挑戦状みたいな要素もあるのかもしれませんね。

 このペダル、パーツの調達の都合上150台程度しか生産出来ないそうなのですが、初回ロットは50台程度だったようでして残りについてはCULTさんの方で入荷次第また抽選販売が行われるそうです。気になった方はCULTさんのTwitterなどをチェックしてみてください。

 最後に、実際に戸高さんが弾いたデモ動画もYoutubeにありますので、そちらも引用しておきます。

youtu.be


 
それでは、また次の記事でお会いしましょう。

TORNARD Fx / TORNADO Drive Aluminum & Brass

 こんにちは。今回は、ペダルフリーク界隈でも話題のこちらのペダルについてです。

文字が金色の方がBrass、白い方がAluminum


 TORNARD FxのTORNADO Drive。TORNADO Fxというブランドですが、あのONE CONTROLの別ラインという扱いの新規ブランドです。凛として時雨のTKこと北嶋徹さんのシグネチャーペダルを作るに際して、デザインをBJF、製作をONE CONTROL、監修がTKという形でTKの理想の音を追求するために立ち上げられたONE CONTROL内の別ブランドラインという形ですね。

 そんなTORNADO Fxの初のペダルがTORNADO Driveです。筐体の違いで2つのタイプが発売されていまして、1つがTKの使用する機材と求める音色に合わせて調整されたブラス削り出しのBrass、もう1つが多くのギタリストにとって素晴らしいオーバードライブとして開発されたというアルミニウム削り出しのAluminumとなっています。
 今回はAluminumとBrassの双方について触れていこうかと思います。

 まずコントロールですが、どちらも基本的にはLevel(音量)、Tone(音色の調整)、Drive(歪み量)の3ノブ構成です。電源周りはどちらも9VセンターマイナスのDC入力。電池も使えます。
 Brassのみ側面にトリマが2つ付いていて、そちらがミッドレンジを調整する「2K」と高域のエッジを調整する「High Treble」のコントロールとなっています。
 コントロールに関してはこの程度で、比較的シンプルな方だと思います。

 最大の違いはやはり筐体の違いで、どちらも削り出しですが、アルミニウムとブラス(真鍮)なので、重さなどの部分で大きな違いがあります。
 Aluminumが公称値348g、Brassは公称値892gですね。倍以上の差があります。実際に自分も自宅にてキッチンスケールに載せてみましたが、Aluminumが349g(多分計り方による誤差)、Brassはちゃんと892gありました。Brassは持った時ちょっとびっくりするくらい重いです。サイズから想像するより随分とずっしりしていて、下手に落として足に当てたら骨折しそうに思うくらいです。(これで人殴ったら死ぬんじゃないかという気すらします)
※余談ですが、Brassの裏蓋を開ける際、ふと気になったので測ったら裏蓋単体で192gもありました。蓋だけでミニサイズのペダル1個分くらいありますね...。

 本体の重量を測った画像はTwitterに上げてるのでそちらを参照していただければと。


※さらに余談ですが、アルミは塗装して文字の色を載せているのですが、Brassの文字部分は塗装を削って地金を出す形を取っているようで、文字の面が凹んでいます。こちらはちょっと上手く撮れなかったので現物が出回ったら是非見てみてください。


 実際に音を出したら音がまるっきり違うので、内部のパーツなども変えてるとは思いますが、その辺は分解してみないとわからないので詳細は不明ですね...。ただトリムが増えてることもあって裏蓋を開けて見える範囲のパターンの引き方は若干違っていました。

緑基板がAluminum、黒基板がBrass。アース周りや電池スナップの取り回しなど細部に違いが見えます。

 

 ここからは音に関しての話をしていこうかと思います。
 まずAluminumからですが、率直にいえば結構JanrayやTSV808に似てるな、という感じがします。その上で違うポイントがあるとすると、Driveを上げていった際に分離感が失われない所が特徴なのかなと。Toneは上げていくとハイと一緒に若干ですがローも上がってるように聞こえました。
 なんというかJanrayでも近い音は作れるかなとは思うのですが、よりゲインを上げた場合の分離感がいいのと、Janrayでゲインを上げた時に出てくるような飽和感が少ないかなという気がします。こちらでもDrive上げていったら最終的にローのボワッとした感じは出てくるんですが、Janrayほどではないかなと。総評では少しハイゲインにしやすいJanrayみたいな印象に近いかもしれません。

 追記:言及し忘れていたのですが、Aluminumはゲインをあげてシングルコイルのリアピックアップで弾くと良い感じの音が出ますね。リアで弾くならAluminumの方が良いかもしれません。



 次にBrassですが、結論だけ言うとAluminumとは別物の音がします。音が凄まじく前に飛んでいきます。BarbarossaのGARGOYLEみたいな感じと言いますか...音の張りと音圧がアルミとは段違いです。めちゃくちゃ迫力がある音がします。その上でミッドとトレブルのエッジをコントロールできるトリマがあるので、かなり音は作り込めるんじゃないかと思います。少なくともフロントPUで弾くならBrassが圧倒的に良かったです。



一応自分が購入してきた日にすごくざっくり撮った映像をTwitterに上げてあるので、添えておきます。ギターはストラト、PUがセンターでアンプがFenderのVIBROLUX Reverbです。
アルミ→ブラス→クリーンですね。動画撮り慣れてないのもあって音もやや篭ってますが、各モデルで違う印象くらいはお伝え出来るかな、と...。


 メーカーのHPでも、汎用性のAluminum、TKの環境に合わせた調整をしたBrassという風に書いていますが、TKらしい音を求めるならBrassの方が圧倒的に優位性があると思いますね。
 問題は値段ですね。Aluminumは39600円(税込)、Brassに至っては71500円(税込)です。Aluminumはこれでも現在のJanray新品価格よりは安いですが、それでも高級ペダルのお値段ですし、Brassに至っては筐体がブラスの削り出しで部材費高いのはわかるけど7万超えてるのでめちゃくちゃ高級品です。正直軽々手を出せる感じではないですよね...。これが最大の欠点かもしれません。

 自分としてはTKっぽさを抜きにしてもBrassの方が音良く感じましたし、高いのとめちゃくちゃ重いのが難点ですが、せっかく買うならBrass買った方が満足度高いんじゃないかなとは思いました。
 Aluminumの方は正直代用できるペダルいくらでもあるような気がしちゃうんですよね...。

 そんな訳で、TORNADO Driveのレビューでした。また次の記事でお会いしましょう。

One Control / Honey Bee OD 4K Mini Standard

 こんにちは。今回はOne Controlから8月にリリースされたHoney Bee OD 4K Mini Standardについてです。



 Honey Bee Overdriveと言えばBJFEを代表する機種ですが、それをビルダーのBJF本人が再構築したのがOne Control版のHoney Bee OD...との事で、今回装いを新たにミニサイズペダルとしてリリースされたのがHoney Bee OD 4K Miniです。(※以下、Honey Bee ODはHBODと省略します)
 今回はバリエーションとして、こちらのStandardモデルよりローエンドがしっかりしていてゲインも(後わずかに値段も)高いCostumという赤いカラーリングのものも同時リリースされてますね。

 元々One Controlは回路設計をBJFがやっていることもあって、BJFEで出していたペダルのリプロダクトに当たるペダルや、その派生というものが非常に多く出ていまして。
 実際HBODにしてもMXRサイズで3ノブのもの(以下3K)が以前から発売されています。そちらも少し前にデザインのリニューアルがされてたのでまだ普通に売ってるはずです。

 ...で、そんなHBODのミニサイズが出ましたというのが今回の話でして。
 見た目も結構本家に寄せてきてる感じなんですよね、トップの面の感じとか。もちろん本家みたいに剥げて味が出る感じの敢えて弱い塗装を採用したものではなくて、One Controlの他のやつと同じ感じの削り出しアルミケースにアルマイト塗装した感じですが。
 コントロールは4ノブになっていまして、V(Volume)/G(Gain)/B(Bass)/T(Treble)と2EQになってます。後Vintage/Modernのスイッチは側面に移動していますが3Kの時と変わらず付いてる感じですね。

One Controlによくある側面のスイッチ(Vintage/Modernのモード切り替え)


 正直コントロールについてはあまり言うことないんですが、各コントロールで調整できる幅がかなり広く取られている感じなので、かなり汎用性は高いように感じます。
 Gainは元々のHBODがローゲインオーバードライブですし、最大まで上げてもミッドゲインまで行くかどうかといった程度ですが、絞り切った状態から音が出るようになっているので、限りなくローゲインな所からちゃんと歪む所まで調整ができます。
 そして、Volumeがかなり稼げるので、アンプの歪みをプッシュするような使い方が一番向いているかもしれませんね。後、後の傾向としてはややモダン寄りでしょうかね。Vintageモードでもそこまでビンテージっぽくはない感じ。
  
 そして、多くの人が気になっている事だとは思うのですが、実際BJFEのHoney Beeと比べてどうなの?という話もしたいと思います。
 自分が所有している、亜鉛ダイキャスト筐体期のHoney Beeとの比較になりますが、一応軽く比べてみたので。
 

右が所有しているBJFE HBOD、左が今回の4K mini Standard


 結論だけ言うと「やっぱり別物」ではあります。本家の方が圧倒的に音が柔らかくマイルドな音で、レンジも広くて、弾いてて気持ちいいとか楽しいってなるとやはり本家の方が圧倒的ではあります。

 ですが、今回のHBOD 4K miniが悪いのかと言われたらそんな事はなくて、非常に良くできたペダルだと思います。各ノブもよく効きますし、モダンで汎用性が高い音をしている上、何より本家より圧倒的に安い。
 2万円ちょっとでこの音が出せるなら正直コスパの面では圧倒的だと思います。後本家と違ってマスプロダクトなんで品質的に安定していて、入手の面で容易と言うのも強みだと思います。


 本家の場合、買おうと思っても在庫がないとか、あっても新品で6万近い値段ですし、おまけに時期によって音が変化しているので好みの時期の中古を探そうとしたら評価の高い時期の物はもっと高いなんて場合もありますからね...。それを考えると圧倒的に気軽に使えるHBOD 4K miniはすごく優秀だと思います。

 個人的には非常に良くできた製品だと思っていて、小さいボードでいい音出したいなんて時には選択肢に十分入ってくるだけのクオリティはあるように思います。
 初めてのローゲインオーバードライブとしても決して悪くない選択肢なんじゃないかと。

 それでは、また次の記事で。8月は忙しすぎて全く記事出せなかったので、9月中にいくつか書きたいなと思っています。

umbrella company / #24

こんにちは、お久しぶりです。
 今回はumbrella companyが昨年リリースしたディストーション #24についてです。

 umbrella companyは音響・楽器製品の輸入と販売がメインの会社で、国外の色々な音響機器、エフェクターはもちろん、ラック系の機材などを取り扱う代理店としてご存じの方が多いかと思います。
 主な取り扱いブランドでいうと、empress effectsとかDEATH BY AUDIOとか、近年だとChase bliss audioとか。ラック系はGRACE design、FMR Auidodなどでしょうか。多種多様な音響機器・楽器を扱っているので、エフェクターやレコーディング機器を買う上でお世話になっている人も多いのではないかと思います。
 そんなumbrella companyですが、実は自社製品も開発しておりまして。当初はヘッドホン用のバッファアンプとかスタジオ向けのフェーダーコントローラーといった物が中心だったのですが、2018年末に発売されたオーバードライブ「Hitchhike Drive」を皮切りにギター用のエフェクターも開発、発表しています。
 
 そんなumbrella companyから昨年リリースされたのが#24です。リリース当時ギタリストのAssHさんによる演奏・レビュー動画がギターマガジンのYoutubeで公開されたりもして話題になったりしましたね。


www.youtube.com


 
 正直これを見てしまうと自分があれこれ書くことあるのだろうかと思わなくもないのですが、ここから自分なりに色々書いていこうかと。
 
 まずコントロールは4ノブ+3wayのトグルが2つですね。ノブのうち3つはVolume、Gain、Toneなのでさほど言及する事はないでしょう。残りのXノブが特徴的なコントロールで音圧感と言いますか、低域の量感をコントロール出来るようになっています。上げていくと、音の壁感を作ったりも出来る感じですね。
 仕組み的にはギターアンプのローのギリギリの所を狙ってブーストして、音色への影響を抑えつつ圧を上げる感じのコントロールだそう。また、自分はまだ触っていませんが内部のトリマで全体的に控えめにすることも、さらに上げる事も可能みたいです。

 トグルの方は右がChannel、左がDensityとなっています。Channelはゲインレンジの切り替え、Densityは音の密度のコントロールです。

 Channelスイッチは左からLead、Normal、Crunchとなっています。
 Leadは王道のディストーションサウンド、という感じですね。音の早さとスムーズさを兼ね備えていて、リードサウンドに限らずバッキングもいける感じです。
 Normalはこのペダルにおいて一番ローゲインなモードで、ほぼオーバードライブの範疇の音になります。プリアンプ的に使ったり、キャラクターを足すブースターとしても使えそうです。
 最後にCrunchですが、こちらはゲインレンジでいうとLeadとNormalの中間という感じで、ゲインを下げていけばオーバードライブ的にも、上げていけばディストーションにも出来るモードです。プリブーストの段階でトレブルブーストをしているそうで、歪みの深さを保ちつつ、低域が潰れすぎないようにしてあるとのこと(説明書より)。
 
 Densityスイッチは真ん中がOff、右がHigh-midモード、左がLow-midモードとなっています。音の密度をどこに寄せるか、という感じのコントロールになるんですが、High-midの方では音の分離と明瞭感が増す感じで、Low-midの方にすると太さと重さが増すという感じですね。トーンの切り替えみたいな感じが近いかも。
 仕組みとしてはエンベロープやら色々な処理を通して、音の密度を変化させるような事をしているとのことです。

 他に内部のトリマで、前述のXノブの効果量の調節をするものと、プリブーストセクションの感度を調整する物がついています。使うギターや、前段に置くペダルによっては感度調整のノブをいじったり、使うアンプによってはXノブの効果量をいじったりするのが良さそうですが、単体で使う分にはあまり気にしなくても良いのかなとも思います。


 音の傾向としては、おおよそマーシャル系の歪みという感じがしますね。実に王道といいますか、どんな場面でも比較的使いやすい音だと思います。
 
 総評になりますが、非常に扱いやすいディストーションだと思います。とても優等生といいますか、使う人の使い方に合わせて細かく調整が出来るので、バンドなどを掛け持ちする人などにはすごく良さそうです。特に大学のサークルとかそういうので色々やる人とかには便利なんじゃないかと思います。さすがにフェンダー系の音まで出せるという事はないですが、マーシャル系の音の範疇での守備範囲は非常に広いと思います。

 個人的にはCrunchモードでゲインちょっと下げた状態の鋭さのある歪み方が好きですね。ディストーションでやることじゃない気はしますが...。
 どのモードにしてもギターのボリュームへの反応が良いので、ギターの方を絞ればLeadモードでもミッドゲインからハイゲインのオーバードライブくらいまではゲインを落とせるので、そういう点でも扱いやすいように感じます。
 値段も2万円台半ばと、昨今のブティックエフェクター等と比べれば手を出しやすいペダルだと思うので、是非一度試してもらいたいです。

それではまた。

Walrus Audio / IRON HORSE V3

 お久しぶりです。今回は少し短めです。
 今回は昨年の11〜12月辺りで発売されたディストーション、Walrus AudioのIRON HORSE V3について。

 Walrus Audio、アメリカ発のペダルメーカーで、日本でもすっかり市民権を得た感のあるメーカーですが、その中でも最初期からラインナップされている定番モデルの最新バージョンです。

こちらがV3。ちなみにこれは昨年ノーマルモデルの前に限定リリースされたハロウィン限定グラフィックの物。(通常モデルはV2同様黄色に黒で馬のグラフィックが描かれています)


 まずV2との違いですが、ジャックの位置がサイドからトップ(筐体上側の側面)へ移動し、これまではトグルスイッチだったクリッピングの切り替え(シリコンとLED)が、無段階でブレンド出来るノブに変わっています。
 これにより、以前は不可能であったシリコンとLEDのブレンドした音なども作れるようになっています。無段階切り替えで混ぜられる方式は同メーカーの他のペダルの一部(コーラスやフェイザー)でも搭載されていますね。

 筆者は過去にV2を持っていた事もありまして、その当時の感覚では、高級なRAT系に分類されるような音がするなと思っていたのですが、V3はRATからは少し遠ざかったように感じます。
 新しく搭載されたクリッピングブレンドのお陰もあってか、RAT系の範囲に縛られず幅広い音が作れるようになっていて、ローゲインな設定ではプリアンプ的な使い方も出来るようになっています。
 その為か全体的に見るとRATっぽさは減った感じがします。もちろん設定次第でRAT系らしい音もちゃんと出せますのでご安心を。

 筆者注 : 高級なRAT系の音、他の例としてはHumangearのFINE DSなどもその手の音だと思っています。荒々しい感じでありつつ、キメが細かいみたいな感じと言いますか、そう言うやつを指して「高級なRAT系」とか言ってます。

あまり深く考えずに設定しても変な音になりにくいところも含めて、全体的に「良い塩梅」なペダルだと感じています。感動するほど良い音が出るとかそういう感じとは違いますが、スタンダードなディストーションとして高水準にまとまった便利なペダルだと思います。なんというか安心して使えるタイプのペダルですね。
 

 昨今のブティック系ペダルとしては手の出しやすい値段かと思いますし、気になった方は一度試してみてください。

それでは。