エフェクターの話をしよう

ラッコ(twitter ID:rakko_lau)がエフェクターのレビューやらをするブログです。コメント等はお気軽にどうぞ。

ZEMAITIS / ZMF2022D

 こんにちは。今回のお題は先日発売になった100台限定のこちら、ZEMAITISのZMF2022Dです。


  ZEMAITISはイギリスのギターメーカーで、彫金されたメタルプレートやシェル(貝殻)を用いたパールフロントなどのデザイン性に優れたギターを作るところとして有名ですね。日本だと布袋寅泰さんやGLAYのHISASHIさんの使用などで知られているのではないでしょうか。

 ...で、そんなZEMAITISから発表されたエフェクターがこちらのZMF2022Dなのですが、日本でZEMAITISの代理店をしている神田商会の企画みたいですね。回路設計は神田商会取扱であった国産ペダルブランドのD.N.A. ANALOGICのビルダーの協力によるものだそうです。

 余談ですが、神田商会は他にはGretschの代理店だったり、プライベートブランドとしてGrecoをやっていたり、以前はFender Japanの代理店をしていたりで知られる国内でも有数の楽器卸だったりしますね。


 さて、この様にZMF2022Dは神田商会の企画で作られたペダルなのですが、ZEMAITISのブランドを冠するだけあって、彫金の施されたメタルプレートに、メタルのノブが目を引くデザインをしていますね。公式の商品ページ(http://www.zemaitis-guitars.jp/zmf2022d/)を見ると、基板やパーツ選定などもこだわった仕様となっているそうです。

内部の写真。基板にD.N.Aのロゴがありますね。

 

 コントロールは左からLEVEL(音量の調整)、CUT(トーンコントロール)、DRIVE(歪み量の調整)となっていて、一般的な3ノブの歪みの構成です。CUTは名称からハイカットやローカットをイメージするかと思いますが、右に回すとハイが出てくる一般的なタイプのトーンコントロールでした。DRIVEは最大まで上げてもこのペダル単体でハイゲインな領域までは上がらないですね。ハイゲインを作るならアンプの歪みと絡めて作っていく感じになると思います。
 
 実際の音についてですが、このペダルの説明書などでは「伝統的なロックで聴き慣れた1960年代の⼤型チューブ・アンプをナチュラル・ドライヴさせたサウンドをイメージし、ナチュラルでありながら、⼒強いオーバードライヴ」を目指したというようなことが書かれています。

 その文言からはプレキシ系とかをイメージするかと思いますが、ペダル単体でその音が出るって感じとはちょっと違う印象を覚えました。大前提として、アンプの歪みと絡めて音を作るタイプのペダルなのではないかと思います。つまり良し悪しはアンプ次第の気があるといいますか…。


 単体での音は、トランスペアレント系をもう少しコンプ感強めにして、音の重心をミッドに持っていったような感じといいますか...。癖を強くしたTimmyとか、キラキラしないJanrayとかそういうイメージをしてもらうと想像しやすそうな感じといいますか...。
 言葉で上手いこと説明しにくいんですが、最近っぽくもあるんですけど最近のペダルにしては珍しい感じもして、設定によってかなり印象が変わってくるように感じます。ローゲインな設定だと多分最近のトランスペアレント系に類する感じの印象を受けるのですが、ゲインを上げていくと自分には90年代の曲で耳にしたギターの音色の雰囲気を感じられるような音が出てくるように思いました。
 90年代のロックやブルース調のロックといったジャンルが得意そうな感じがしますね。

追記:最近触ったペダルの中にうっすら似てるのあったような...と思って最近触ったの鳴らし直したりしたのですが、Box of Rockの古い個体に少し似てました。コンプ感強めなのとマーシャル系であるって辺りで若干似たテイストがするようで。設定によっては少し似た感じがするかなといった程度ですが、参考程度に。

 少し独特な味付けのペダルで、なかなか他に似たものがない気がするので、もし見かけることがあったら試してみてほしいとは思うのですが、なにせ全世界限定100台という事なのでそもそも見かける事自体難しそうですね...。デジマートとかも既に全滅していますし...。とりあえずレアなものであるのは確かなのでいつか見かける事があったら試してみてください。

それでは、また次の記事でお会いしましょう。

BOSS / RE-2

 こんにちは。今回は本日発売のこちら。RE-2です。



 BOSSからついにスペースエコーの新型が発表されたという事で、多くの人が注目していたのではないでしょうか。(海外のリーク情報でRE-2だけ先に発表されたりしてましたが)
 ※同時発売のRE-202の方は購入を見送ったので、そちらに関しての言及はほとんど出来ませんのでご了承ください。

 スペースエコーについては自分が書いてもネットの受け売りみたいなのしか書けないので、気になったら調べてみてください。初代のRoland RE-201と、その後にBOSSから出たRE-20というものがありまして、それらの系譜の上でついにRE-2とRE-202がリリースされた形ですね。

 とりあえず現物を見ていきましょう。RE-2はいわゆるBOSSコンのフォーマットにスペースエコーを落とし込んだものになっています。見た目としてはRE-201やRE-20の雰囲気を踏襲したブラックの筐体とグリーンのパネルが印象的ですね。塗装は写真で伝わるか分かりませんが、少しざらっとした凹凸のある塗装になってますね。大変見た目がよろしいですね。

 入出力はそれぞれABの2系統用意されているのでステレオでの使用も可能になっていて、右にはそれに加えてエクスプレッションやフットスイッチを接続できるCTL/EXPの端子があります。
 本体のホールドは初期設定ではタップテンポのテンポ設定が割り当てられていますが、設定を変えると本体のみでTWISTを使うことも出来るようです。タップとTWIST両方使いたいなら外部スイッチを繋ぐ、どちらかでいいなら本体設定で対応出来る、という事みたいですね。

 コントロールはモード以外が2軸のポットになっていて、以下のパラメータに対応しています。
 ECHO→ディレイの音量。
 REVERB→リバーブの音量、ECHO絞り切るとリバーブのみの使用も可能。
 INTENSITY→ディレイのフィードバック量。
 TONE→右に回すと高域を強調 / 低域をカット、左に回すと低域を強調 / 高域をカット。
 REPEAT RATE→テープのスピードの調整 右に回すほど早くなり、エコーの間隔も短くなります。それに伴った音質変化が発生する。
 WOW&FLUTTER→テープの揺らぎのコントロールです。右に回すほど揺らぎが大きくなります。
 ここまでを見てわかるように、基本的にはRE-201やRE-20のコントロールを踏襲してる感じですね。WOW&FLUTTERの存在と、元々はBASSとTREBLEで2バンド備えていたEQがTONEにまとめられているのが大きな違いでしょうか。

 そして、MODEノブは11個のモードが用意されており、3種類のテープの再生ヘッドとリバーブの組み合わせを切り替えるものとなっています。組み合わせ等は公式の説明書を参照してください。
 最後に本体の上側側面にCARRYOVER スイッチがあり、これを切り替える事でオフにした際にエフェクト音もオフにするのか、残すのかを切り替えられます。いわゆるトレイルの設定ですね。

 音の方ですが、スペースエコーのあの音が出ます。それ以上言い様がないといいますか...発振音とかもパッと聞いた感じではあの音そのままな感じがします。このサイズでこの出来、さすがBOSSと言わざるを得ないですね...。正直あまり不満な点がないです...。敢えて残念なところを挙げるならWARPは外部スイッチつけても使えないくらいでしょうか。(RE-202はTWISTもWARPも使えるようです)
 
 余談ですが、どうやらRE-202の方がリバーブ部分の切り替えなどができる都合で出せる音が違うみたいで、多機能モデルな分だけ音を作り込めるようです。RE-202は本家では不可能だった長さのREPEAT RATEを扱えたり、音のバリエーション自体も増えていて、コントロール性も良くなっているので、もしもサイズなどに抵抗がないようなら両方触ってから決めた方が良いかもしれません。自分はサイズの都合でRE-2即決だったんですけどね...。

今回はこんなところで。また次の記事でお会いしましょう。それでは。

A.D.D.(Audio Disruption Devices)/ L.A.G.(Lo-Fi Atmosphere Generator)

 こんにちは。ご無沙汰しておりましたが、今回はA.D.D.というメーカーのペダルを紹介します。

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 A.D.D.は正式にはAudio Disruption Devicesと言いまして、アメリカはインディアナ州の個人ビルダーによるブランドです。元々はホームページなどもなかったようで海外のペダルギークたちにひっそりと知られるようなブランドだったみたいです。最近ディーラーがついて国内にも入ってくるようになりました。

  そんなA.D.D.のペダルから、今回はL.A.G.というペダルを紹介します。このL.A.G.ですが、正式な名称は「Lo-Fi Atmosphere Generator」と言います。
 アナログ回路のデュアルディレイで、一般的なディレイとして音を反響させたり伸ばしたり出来るのですが、それに加えてドライの信号にウェットを纏わせるようにして、Lo-Fiなサウンドを作る事を主眼に置いたペダルとなっています。
 
 コントロールは、ディレイ1と2それぞれにtime、regen、そしてsignal aligner、signal mixerの6つですね。
 timeとregenはディレイでは定番のディレイタイムとフィードバックの設定ですね。2系統それぞれに設定出来ます。
 signal alignerは、それぞれのディレイのwet音の掛かり方を、series(直列)かparallel(並列)、あるいはその間の任意の所で設定するコントロールです。直列にするとディレイ1の後にディレイ2が掛かる形になり、並列にすると2つのディレイが同時に鳴ったような音になります。
 signal mixerはディレイのDryとWetの割合の調整ですが、L.A.G.はコンセプト上ディレイの音量が控えめになっていて、Wet側に振り切ってDry:Wetが1:1になるくらいの感じですね。
 また、内部にトリマが2つあって各ディレイのタイムをさらに伸ばす事が出来ます。伸ばすと同時にノイジーでカオスなサウンドになっていきますね。初期設定では絞り切られているので、よりノイジー、カオスにしたい人向けの拡張コントロールという感じですね。

 入出力は、インプット、アウトプットとセンターマイナス9Vの入力が上部側面に、左側の側面に2つエクスプレッション用のジャックが備えられています。このエクスプレッション用のポートには、別売で"Animator"というL.A.G.専用のモジュレーションユニットを販売されていて、それぞれのジャックに接続することでDelay1と2のタイムに作用させてディレイに景色が歪むような揺らぎと奥行きを与えることが可能、との事です。

 このAnimatorというユニットなんですが、現在(2022/04/04時点)では公式のHPには記載がありません。
 実は先日このAnimatorというユニットの機能を内蔵したL.A.G.のV2が発表されまして、別売りの必要がなくなったからラインナップから消えたのではないかと思われます。

 
 音の方は基本的に柔らかい感じのディレイ音で、空間を広げたり雰囲気を作るのが得意なペダルですね。Dryの音にWetを纏わせるような少し独特な掛かり方が特徴的です。
 ディレイという枠組みで考えるよりは、もう少し広い枠で空間系として考える方がいいようなペダルじゃないかと思いますね。個人的に近い印象を持っているのは、DigitechのDigidelayのモジュレーションモードの感じで、あの空気中に音が滲んで散っていく感じに近い表現が出来るのが自分としては好みのポイントです。

 あまり他で代用しにくい音の作れるペダルですし、近日(今月中くらい)にV2の国内入荷もあるようですので、気になる方はチェックしてみてください。

 

2022/4/23追記:V2を買いました。音量がさらに控えめになっている感があるので、より空間を広げる方向に、溶け込ませる方向にシフトしている感がありますね。ディレイ含めたフレーズで演奏をする人には向かないような気がしますが、逆にふわっと空間に馴染ませるような使い方をするにはより良くなっている印象です。ただユニット追加分だけ値段も上がっているので、もしV1があって比べられそうなら双方試してから選ぶと良さそうな気がします。

 それではまた次の記事でお会いしましょう。

ELECTRONIC AUDIO EXPERIMENTS (EAE)/ Limelight V2

こんにちは。今回は海外から仕入れたペダルの話です。

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 ELECTRONIC AUDIO EXPERIMENTS(EAE)というメーカーのLimelightというペダルです。

 まず、EAEは2015年にギタリスト兼電気技師のJhon Snyder氏によってマサチューセッツ州ボストンで始まったメーカーです。
 今のところ日本国内に代理店やディーラーがないのですが、海外のギタリストのペダルボードなどを見て気になった国内のペダルマニアが個人輸入などで手に入れた後、放出したものなどがメルカリなどにたまに出てるのを見かけますね。
 自分もTwitterで繋がりのあるペダルマニアの方が推しているのを見て、気になって調べているうちに、ブランドのinstagramにて新作(Limelight V2)の写真があり、良さそうな気がしたので仕入れた次第です。
 ※実際には見つけた時には直販売り切れてて、Twitterで教えてもらったシンガポールのディーラーから買いました。

 このLimelight、LAを拠点にするパンクバンドのTouché Amoré と共同開発された2chのオーバードライブとの事で、元々はTouché Amoré が2020年に制作したLamentというLPのリリースを記念して作られたシグネチャーペダルのようです。実際LPの中にLimelightというタイトルの楽曲がありますね。アルバム全体通してこのペダルが使われているようです。

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 ペダル自体の話に戻りますが、リリース当初のV1は横長の筐体(写真見た限りではBondi effectsのSick asとかと同じサイズ)で作られていたようですが、今回リリースされたV2はほぼ正方形の筐体になり、回路もバイパス部やノイズリダクションなどを改善されたようです。この正方形に近い(厳密にはやや縦が長い長方形)ケース、割と海外のペダルブランドだと良く見ますよね。フットスイッチが2つあると、このサイズ感が踏みやすくていいという事なのかも。あるいは基板収める都合かもしれないですが。(実際海外ペダルだと、walrus audioのように普通のMXRサイズにフットスイッチ2つ突っ込んであるのも数多くあるので基板収める都合な気がしてます)


 コントロールはVolume、Tone、Gain、Boost、そしてFocus(3wayトグルスイッチ)となっています。フットスイッチはDRIVEとBOOSTの2つ。電源はセンターマイナスのDC 9Vで、電池は使用不可のようです。消費電流量は両方のチャンネルをオンにした場合で80mAとの事。
 
 もう少し詳しく見ていくと、BOOSTチャンネルのコントロールはBoostノブのみとなっていて、こちらで最大21dBまでのクリーンブーストができるようになっています。
 Volume、Tone、Gain、そしてFocusトグルはDRIVEチャンネルのコントロールとなっていて、Volumeは文字通り音量を、Gainは歪みの量を調整する物です。公式HPにあるマニュアルによるとGainは2つのゲインステージを同時にコントロールしていて、軽い歪みからディストーションに近い歪みまで幅広いレンジを確保しています。ゲインを上げていくと中域にフォーカスされるようになっているようで、それによって音の濁りを減らす設計になっているみたいです。

 Toneはシンプルなローパスフィルターになっていて、右に回すほど高域を通す形になっています。Focusのトグルは歪み部分の可変ローカットで、倍音の量や中域の存在感をコントロール出来るようになっていて、3段階から好みのものを選べます。上はハイが強調されたサウンドに、真ん中は一番癖のない素直な感じに、下にするとややローが強調された太い音になりますね。このToneとFocusを組み合わせて好みの音を作る感じですね。
 
 ちなみにDRIVEチャンネルとBOOSTチャンネルはそれぞれ個別に使える仕様になっています。ペダル内での接続順はBOOST→DRIVEの順になっているので、両方オンにするとBOOSTはゲインブースターとして作用する形になりますね。

 音の傾向ですが、LimelightはMarshall Blues Breakerの回路をベースにしつつ、Touché Amoré のギタリスト2人に合わせてよりラウド、よりダイナミックな物を目指して作られたようです。※EAEの当時の既存ラインナップにあった歪み(Longsword、Harberdなど)では彼らの希望には沿わなかったんだとか。

 そんな訳でBlues Breakerにもっとメリハリつけたような感じの音がします。ローゲインではスッキリしてますし、ハイゲインにするともっとラウド!パンク!って感じになるので、ざっくり分類するならモダンな方向性の歪みだと思います。モダンとは言っても、ToneとFocusのコントロールが非常に良く出来ていて、この2つを使うとかなり幅広いジャンルに対応できるのではないかと思います。特にFocusのローカットコントロールがトグル1つで帯域の被りなどに対処できそうな感じで非常に便利な感じがします。

 難点があるとすると国内では入手しにくい事でしょうか...。EAEのペダルは公式サイトの直販だと在庫復活から無くなるまでがかなり早いのと、在庫追加がEST(アメリカの東部標準時)の正午だったりするので、日本だと深夜(ESTの12時=日本では翌深夜2時)なことが多いんですよね...。実はまさに先日、Limelightとは別のペダルの在庫追加があって、自分はどうにか販売開始まで起きてて買ったのですが、その後朝起きたら売り切れてたんですよね…。日本時間の朝8時にはなかったので6時間保たなかったみたいです。


 公式HPメーリングリストに登録しておくと再入荷の時期にお知らせしてくれるので、気になる方は是非。HPに掲載されている、各国ディーラーに網を張っておくのも手ですね。自分もそちらから入手したので。

 デザインもいいですし、すごく自分好みなペダルです。エモ、パンク系の音楽をやる人に特におすすめしたい感じですね。もちろんそれ以外のジャンルでも是非。

 

 それではまた次の記事でお会いしましょう。

novels / ODR-1 LTD

こんにちは。今回は少しニッチなペダルの話。

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 novelsのODR-1 LTDです。
 

 novelsはドイツのエフェクターブランドで、ベルナルド・クルスケとカイ・タチバナ(日本人名ですがドイツの方だそうです)の二人によって発足したペダルブランドです。代表機種はODR-1、今回紹介するペダルのルーツにあるペダルですね。
 どうもメーカーとしての歴史は結構長いようで、1980年代から活動しているみたいです。当初はヘッドフォンアンプやラックタイプのマルチエフェクターなどを製作していたらしく、90年代にコンパクトエフェクターをリリースした以降もラック系の機器やアンプ、MIDIフットスイッチャーなども生産していたようです。あと安いプラっぽい筐体のフェンダーのペダルのOEMを担当していたのもこのNovelsだったようです。詳しくはドイツ語のページになりますが、公式サイトにメーカー史があるのでそちらを参照してみてください。

 →https://nobels.de/history/

 
 ちなみにオリジナルのODR-1も値段は確か実売で7000円とかそのくらいだったらしいので、基本的には安エフェクターとか言われるようなブランドですね。ただ値段の割にいい感じの音が出るという事もあって、海外ギタリストのペダルボードにさりげなく入っている事があったりするんですよね。日本で言うなら多分BEHRINGERのコンパクトシリーズとかに近いポジションなのかもしれませんね。

 さて、今回の本題のODR-1 LTDですが、オリジナルのODR-1が海外ギタリストなどの間でカルト的な人気を得た後、2019年になってからベースカットスイッチを追加したアップデートバージョンのODR-1 BCというモデルが出まして、それの限定カラーという位置付けのものです。
 国内には代理店の日本エレクトロハーモニクスが20台のみ入荷したようで、発表から2〜3日でなくなった模様です。ODR-1 BCはライトグリーンというか黄緑色なんですが、LTDの方はメタリックなグリーンになっています。他の違いとしては、通常版は外箱がグリーンですが、LTDではブラックになっていて、限定版の証明書がついてきます。
 ペダルの中身は通常カラーのODR-1 BCと一緒です。違いの割に値段が7000円くらい高かったので、内心ちょっともやっとしそうになります...。

 話を戻しますが、元々ODR-1というペダル、あの緑の見た目からTS系を意識したペダルのように見えるんですが、その割に音がTSっぽくないのです。なんというかもっと硬い音ですし、EQというかトーンコントロールが独自のものになっている事もあって、使い勝手も随分と違うといいますか...。
 どうも開発の経緯によると、TSが流行っている中で開発者がTSの中域のピークが好みでなかったそうで、開発者が持っていた40WのFender Bassman(ブラックフェイス)の音を志向して開発されたらしいとか。(こちらもドイツ語のページがあるのでそちらを参照してみてください)

 →https://nordland-electronics.de/blog/odr-1.html
 

 どうやら開発者の方は現在では独立してNordland electronicsという会社を設立しているようで、こちらからORD-1のリプロダクトのようなODR-Cというペダルをリリースしているみたいですね。(こちらもリンク先はドイツ語です。)

 若干余談ですが、Novelsのコンパクトペダルシリーズには少し珍しい部分がありまして、ペダルボードに組み込む事を前提とした機能が豊富だったりします。一つはアンラッチのリモート端子がついている事で、スイッチャーのリモート端子などを使ってオンオフのコントロールが可能になってます。もう一つが本体底面にボード固定用の金具が標準装備になっている事です。使うかは別として選択肢があるのはありがたいですね。

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ご覧のように金具が付いていて、ボードへねじ止めする事ができるようになっている

 

 話を戻しまして、ODR-1 LTDのコントロールですがDRIVE、SPECTRUM、LEVELの3ノブに、電池ボックス内からアクセスできるベースカットのミニスイッチとなっています。

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電池ボックスを開けたところ。左側にある小さいスイッチがベースカットのスイッチ。

 DRIVEは歪みの量を、LEVELは音量を調整する一般的なコントロールですが、トーンコントロールに相当するSPECTRUMがかなり独特な効果です。右に動かすと中低域と高域が増え、左に動かすと低域と高域が減ります。ただしどの位置でも中域は変わりません。右に回していくとややドンシャリな荒々しい感じのサウンドになり、左に回していくと中域をそのままに、ブルースなどに向いた甘くて太めな音へ、悪く言うとちょっと抜けない感じの音になっていきます。
 また、中域が変化しないのでシングルコイルをハムバッカーのように太くする事ができるともありますね。(その上でハムバッカーを繋ぐ際などのためにベースカットスイッチを増設した、という事らしい)


 実際使ってみると、SPECTRUMの効き方が独特なので、慣れは必要かも知れませんが結構使いやすい気がします。自分はSPECTRUMを7くらいの位置にしてDRIVEとLEVELは欲しい歪み量と音量に応じて設定、と言う感じが好きな感じでした。ブルースとかが守備範囲外で弾かないので、どうしてもSPECTRUM上げる方向になりますね...。

 まとめると、少し珍しいキャラクターのオーバードライブなので、試してみてハマる人にはすごくいいペダルだと思います。好みに合う合わないは明確に出る類のペダルだと思うので、気になる方はぜひ試してみてください。
 参考までに言うと通常モデルのODR-1 BCは新品の実売価格が1万5000円弱ですし、中古ならもっと手に入れやすい価格で出てくるんじゃないかと思います。

 それではまた次の記事でお会いしましょう。