自作ケーブルを作ろう 電源ケーブル編
用意する道具
- ハサミ:よく切れる奴がいいです。僕はHOZANのヘビースニップを愛用してます。普通のハサミと比べるとちょっとお高いですが、使いやすいので。
- ドライバー:セットとかに入ってるものでも大丈夫です。自分も高校時代の技術の授業で使ってた奴とか使ってます。
- メジャー:定規でも可。個人的にはケーブルなんかだと曲がるのに添わせられるメジャーの方が扱い易いと思っています。
- テスター:デジタルテスターなら大体問題はないです。自分はお値段が手頃だったのと、ケーブル作成でしか使わないのでオヤイデさんで売ってるDB-2という物を使ってます。エフェクターの自作とか、ギターの配線いじる人は測定値の出るものを買った方がいいかと思います。
- トレー:パーツとかネジとか散らばらない様にするのに、100均とかで売ってるやつでいいので一つあると便利です。
用意する材料
実際の作業工程
- プラグ類を分解する
- 必要なパーツを事前にケーブルに通す
- 線の被膜を剥く
- プラグに接続する
- テスターで導通を確認する
- プラグを組み上げる
- 完成
とても大雑把に言うとこの様な具合になります。それでは各工程の説明をしていきます。
電源プラグの分解
まず電源プラグのプラグの面にあるネジ2本を緩めて、カバーと分けます。
こんな感じになります。
次にカバー側ですが、クランプ部を緩めておきます(後でケーブルを通します)
続いてIECコネクター側も開けていきます。
ネジを緩めたら、少しずらして上下に分けます(2枚目参照)。
そして、3枚目の右上にあるパーツ(ブーツ)は今回は使用しませんので外してしまいます。(今回使用するPC-23の太さは通らないので使えない為)
最後にケーブルのクランプ(挟んで固定する所)のネジを外しておけば準備完了です。
続いて手順2ですが、今回の場合はプラグ側のカバーのみが事前に線に通しておくパーツになります。
これが楽器用シールドケーブルの作成などの場合は両端のプラグのカバーと熱収縮チューブなどを通しておかないといけないので、時折何かを通し忘れて半田付けまでやってしまってやり直し...という事がありますが、今回は半田付けする場所もないので、万が一忘れてもフォロー可能なのであまり気にしなくても大丈夫です。
プラグの用意ができた所で、線の被膜を剥いていきます。
プラグ側は大体線の端から3cm、IECコネクター側は線の端から4cmを目安に、外側の被膜を剥いてください。ハサミで外周をグルっと切れ目を入れてあげて、取るといいでしょう。
あまり強く切れ込みを入れると、内側の線の絶縁部分まで切ってしまうので、力の入れすぎには注意してください。
中の線を露出させました。さらに各線の先端を10mmほど剥きます。
ご覧の様に、被膜を取ったら各線を撚ってまとめておきます。
ちなみに、IECコネクター側の中の線は、黒/白の線を少し短めに加工してあげてください。外の被膜を4cm剥いた後、黒/白の線は5mmほど先端を切って短くしてから被膜を剥く感じです。
※コネクター内での線の取り回しの都合で、緑の線をやや長い状態にしておく必要があります。
パーツが透明な為、見づらいと思いますがご容赦下さい。上部の何も書いてない穴がHOT、左側のWとある所がCOLD、右よりのGと書いてある所の穴がGND(アース)と対応しています。
ただ、今回はGNDの穴は使いません。何故かと言いますと、3ピンで作ってしまうと家庭内で使用する際の取り回しが不便になるからです。3ピンが刺せるタップか、変換プラグがないと使えない事がほとんどになってしまうので。直接刺せる3穴の壁コンセントは大体部屋に一箇所あるかどうかなので、3ピン仕様のままだと、家で使う場合に不便なんですよね...。
3ピン仕様の方が、プラグ自体を支える部品が多いんでタップに刺した際にグラつかず安定するとか、メリットも当然あるんですけど、エフェクターなどに使用する分には音質的にあまり大きい差はないので、私としては使い勝手を優先した方が良いかなと思っています。
余談になってしまいますが、内部でアースが明確に分離されている機器の場合だと、アース/コールドが共用になる2ピンケーブルを使用した場合に音質に影響が出たりもしますが、そこまできっちりした機器ってハイエンドのオーディオ機器とかになってくるので、少なくともエフェクターなどに使う上では極端な影響は発生しないのではないかと思っています。
それで、この3ピンを使わないってどう言う事なのかという事ですが、先程の電源プラグをさらに分解します。先ほどの写真の真ん中のネジを外すと、この透明なカバーが外せます。
そうしたら、この写真だと下側のピンを外して、その後カバーを戻し、ネジをつけると2ピン仕様に切り替えられます。
こんな感じですね。下に写ってる奴が外したピンです。プラグの加工はこれで完了したので、線の方にも一手間加えます。プラグ接続側の緑の線は先ほどGNDのプラグを外した為、接続しなくなります。なので、絶縁してしまいます。
今回は熱収縮チューブを被せていますが、絶縁出来ればいいだけなので、ビニールテープなどを巻くとかでも大丈夫です。 各穴の側面部分にネジがありますので、そこを緩めます。そうすると、穴の内部で板が動いて、穴のところに隙間ができます。撚った線をそれぞれ対応する穴に差し込んだ後、ネジを締めてやると、パーツが線を挟み込んで固定してくれます。これで接続は完了です。
注意点としては、あくまでも挟み込んでいるだけなので、ネジをしっかり締めておかないと線を引っ張った際に線が抜けてしまう可能性があります。ねじ山を潰さない範囲でしっかりとネジを締めてあげてください。
ここまできたら後はプラグのカバーをつけてあげて、クランプを締めてあげればコンセントプラグ側は完成です。
続いて、IECコネクター側の結線をしていきます。
まず各端子のネジを緩めておきます。(こちらもネジを締めて挟み込んで接続する方式) 各端子に差し込んで、ネジを締めてあげます。最後にクランプを付けて、蓋を閉めればこちら側も完了です。クランプをつける際は外の被膜ごと大外から挟んでください。
ちなみにIECコネクターも端子下部(写真だと線で隠れてしまう部分)に各端子の目印がついています。LがHOT、NがCOLDです。GNDは目印なしですが、真ん中なので間違えようがないので問題ないでしょう。海外製のものはL(Live)、N(Neutral)、E(Earth)という表記が一般的なんだとか。覚えておくと次作る時便利かもしれません。
蓋を閉めたらどこがどの端子かわからなくなっちゃう人向けにコツをお伝えすると、プラグとコネクターを頭から横並びにすると、逆三角形的な配置でCOLD/GND/HOTが同じ並び方になるので、それを参考にすると良いです。下の頂点がGND(アース)になる形です。
なお、アースは今回片側しか接続されていないので、当然テスター当てても反応しませんが、これで正しいです。(仮にコンセント側のコールドとIECコネクター側のアースが導通したりしていると、漏電時に漏電ブレーカーが落ちてくれないなどの事象が発生してしまい、危険です。重ねて言いますが非常に危険なので気をつけてください。)
最後に補足なのですが、この記事の最初の方で触れた手順では、テスター当てて確認の後、プラグを組みあげて完成って書いているのですが、説明する上では最後にテスターの方がわかりやすいかなという事で順序を前後させています。
実際に作る上では、接続した段階で一度テスターを当てて、確認をしてからカバーを取り付けた方が作業の手戻りが少ない分、楽になるかと思います。組んでからテスター当ててなにか違う、ってなるとプラグ分解して繋ぎ直して...となるので。
と、言う事で完成です。
最後に