エフェクターの話をしよう

ラッコ(twitter ID:rakko_lau)がエフェクターのレビューやらをするブログです。

Cooper fx Generation Loss V2

 こんにちは。今回は待望のペダルが発表され、国内販売開始になったので早速…という記事です。

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 Cooper fx Generaton Loss V2です。V2と言うからにはV1があったりするのですが、その辺の話はちょっと後にしまして、先にCooper fxの話などしたいと思います。


 Cooper fxはアメリカのミネソタ州ミネアポリスでペダルを作っていて、ノスタルジーな雰囲気を出すローファイなペダルを中心にリリースしています。かなりマイペースなブランドなようで、生産数が少ないのもあって世界各国の販売店でも、どのペダルも入荷するとすぐ売り切れ、という状態が続いているらしいです。余談ですが、ロゴはブランドオーナーの愛犬、Cooperのシルエットで、出荷されたペダルにはCooperのブロマイドが入っていたりします。

 

Generation Lossというペダルについて

 本題のGeneration Lossというペダルですが、Cooper fxが脚光を浴びるきっかけになった、VHSの雰囲気を再現するモジュレーション系ともフィルター系とも言えるペダルで、いまだに海外では結構な値段で取引されていたりします。(V2が出ていくらか相場が下がったみたいですが、安くて7万〜高いと10万くらいの値がついていることもあるようです、ちなみにV2にも現状在庫薄の為か、やたら高い転売価格がついてます...)

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Generation Loss V1

 そんなCooper fxですが、Chase Bliss AudioのDark World(リバーブ)のDarkチャンネルのリバーブデザインをやった縁などからか、一昨年(2019年)にChase Bliss AudioとコラボしたいわゆるCBA版のGeneration Lossを1000台限定でリリースしています。CBAの筐体スタイルに合わせた、実質Generation Loss V1.5といった感じのもので、発売時あっという間に完売し、こちらはReverb.comなどで見るといまだに10万円以上の値段で取引されていたりします。一部日本のペダルマニアでも手に入れてる方がいまして、こちらは自分も数回弾かせてもらった事がありますが、とても良いペダルでした。

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Chase bliss Audio版のGeneration Loss

 さらに2020年になると、カートリッジ切り替え式のマルチ空間系エフェクターARCADESをリリースして、追加カートリッジにGeneration Lossをモチーフにしたカートリッジが出たりはしていたのですが、本家のGeneration LossはCBA版も含めてとにかく入手自体が困難なペダルになっていました。

 そして、今年になってついに沈黙を続けていたCooper fxが満を持してリリースしたのがこのGeneration Loss V2です。大枠では、CBA版で発展させたGeneration Lossをさらにブラッシュアップしたものみたいです。CBA版にはなかった機能なども追加されていますし、V1になかったMIDIやエクスプレッションコントロールへの対応や、AUXスイッチの追加などもされています。今回は限定品じゃないという事なので、待っていれば正規価格で買えるはず...です。「製作ペースが気まぐれすぎて、本国ディストリビューターが作ってくれとせっついてた」なんて噂話もあるくらいなのでちょっと不安ではあるんですが...。 

 前置きというかペダルのエピソード部分が長くなってしまった感はありますが、次は操作面などに触れていきたいと思います。

 

入出力とコントロール 

 まず入出力ですが、インプットとアウトプット、EXPジャックと3.5mmジャックのMIDIインプットがあります。MIDIジャックが基盤直付けで固定されてないのがやや不安です。あと、電源は9V 150mAのセンターマイナスですね。

 コントロールは通常サイズのノブでWOW、FLUTTER、LP(ローパスフィルター )、HP(ハイパスフィルター)、ミニサイズノブでWET、DRY、GEN、NOISE、後LEDスイッチで、FUNCスイッチとPRST(プリセット)スイッチ、それからフットスイッチでAUXとBYPASSがあります。このミニノブ類もMIDIジャック同様、ケース側への固定はされてなくて、基盤直付けなのでしくじって踏んだりすると壊れる可能性は拭えないのが不安ですね...。ハンドメイドでやってるCooper fxらしいとも言えるんですけど...。プロダクトとしての頑強さなどの面ではCBA版の方が安心感あるかもしれません。入手難度を度外視した見解ですが。

 

 各コントロールでどんな風に音が変わるか、というと、以下の様な感じです。

  • WOW:テープマシンのオーディオプレイバックにて発生する低周波数帯のランダムなピッチ変動の調整。右に回していくと変動のデプスとスピードが増します。最終的にコーラスやランダムビブラート的な領域まで深くできます。
  • FLUTTER:WOWがスローでマイルドなピッチ変動なのに対して、こちらはテープならではのサウンドを特徴づけるような、より過激なピッチモジュレーションのコントロールです。なお、AUXの機能がSpectral Freeze/Droneのモードの場合はここがランダムビブラートのスピードをコントロールするノブとして機能します。
  • LP:レゾナント・ローパスフィルターのカットオフ周波数の設定です。左に回すほどオーディオがフィルタリングされていきます(右に回し切るとフィルターが無効化される)。HPと組み合わせて高域、低域をフィルタリングする事でリアルなテープサウンドの再現をしていく為のコントロールです。
  • HP:LPと対になるレゾナント・ハイパスフィルターのカットオフ周波数の設定です。こちらは右に回すほどフィルタリングされていき、左に回し切ると無効化されます。オーディオの高域を際立たせる効果も。
  • WET:エフェクト音のボリュームコントロールです。
  • DRY:ドライシグナルのボリューム調整です。絞り切ればキルドライも可能です。なお、ドライシグナルはデジタル変換なしでアナログのまま出力されます。後、調整時にガサゴソとノイズが出ますが、これは仕様だそうです。
  • GEN;エフェクト音のサンプルレートのコントロールです。最大値ではオーディオ品質がピュアな状態に保たれますが、左に回していくほどに劣化し、ローファイになっていきます。
  • NOISE:12時方向を基準として、左右で2種類のノイズオプションが選択できます。12時ではノイズがオフ、そこから左に回すと静的なホワイトノイズのレベルが増します。このホワイトノイズはフィルターの前で掛かる効果となっています。逆に右に回していくと、Generation Lossの前モデルの"noise mod"として知られているユニークなノイズが付加されていきます。

 LED兼用のスイッチは、FUNCがAUXスイッチで作用させるエフェクトの設定を、PRSTはプリセット関連の機能のコントロールとなっています。(ちょっと複雑なので詳しくはアンブレラカンパニーさんの商品ページから、取扱説明書を参照してください)

 AUXに割り当てられるエフェクトは、Tape stop effect、Garbled(文字化け) tape effect、Spectral Freeze/Droneの三種類あります。

  • Tape stop:オンにするとテープ効果だけバイパスされたような、ピッチ変動がない状態のローファイなエフェクトになります。
  • Garbled tape:テープをぐちゃぐちゃさせたような、ピッチ変動を最大化したような効果が得られます。
  • Spectral Freeze/Drone:オンにすると直前の音をフリーズして延ばすことが出来ます。

 なお、AUXと、BYPASSのスイッチはラッチ/モメンタリー両用となっていて、素早く押すとラッチ、0.5秒以上長押しするとモメンタリーとして機能します。EQDのペダルのフレキシスイッチに似た形式ですね。

 

実際に弾いてみて

 この記事を書きながら少しずつ触ってみた感想ですが、いわゆる世に多くあるテープエコー系のローファイマシーンとは方向性が大きく違うタイプのローファイ系エフェクトだと感じました。基本的にピッチ変動とフィルターで音を構築しているようなのもあって、設定次第ではリングモジュレーター的な音も出せますし、飛び道具としても一級品のペダルだと思います。

ただ、このペダルの真価は浅めにエフェクトをかけた時じゃないかと思っています。デジタルエフェクトではあるのですが、絶妙なローファイ感が付加されるので、うまく浅めにかけてあげるとギターの雰囲気作りに一役買ってくれるのではないかと。

 なお、記事の序盤の方で、ARCADESというカートリッジ切り替え式マルチエフェクターに、Generation Lossのカードがあるという話をしましたが、基本的には似て非なる物です。
 ARCADESは差し替えられる各カードに8つのモードを搭載していて、カードとモードの切り替えで色々なエフェクトを扱えるのですが、Generation Lossカードの中でも一番オリジナルに近いとされるモードを使ってみた限りでは確かに雰囲気の近い感じの音は出ますが、モード変えるともう別物のエフェクトなので...。お互いに代わりは出来ない感じかなと思います。

総評

 Generation Loss V2、ローファイ系ペダルの傑作だと思います。不要な人にはとことん不要なタイプのペダルだとも思いますが、これじゃないと出せない音は確実にあるので、ハマる人には欠かせないペダルになるのではないかと思います。純粋にオーガニックな感じの揺れものペダルとしてもいいので、興味の湧いた方は、今は国内に在庫ないようなので次の入荷タイミングを見計らって、試してみてください。それでは。